「財政の崖」問題、早期決着なら2013年の成長支援=米FRB議長

米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は20日
米議会が「財政の崖」問題を早期に解決できれば、
2013年は米経済にとり「非常に良い年になる」
との見方を示した。

議長は信頼ある長期財政再建計画の策定を求める一方、
経済への逆風を不必要に強める措置については
反対する立場を明確にした。

また「財政の崖」への対応を怠れば、米景気回復の腰を
折りかねないとの考えを改めて表明し、議会の
財政再建協議をめぐる懸念がすでに成長を
損なっていると述べた。

「対立と遅延はこうした(財政の崖問題を取り巻く)
不透明感を増幅するだけだ」とし、「これに対し
明確な財政政策を実現するための協力と創造性、
とりわけ景気回復を損なわず長期財政問題を解決する
計画などは、新たな年を米経済にとり非常に
良いものにする一助となるだろう」と述べた。

7.9%に高止まりしている失業率については、
賃金インフレの加速を招かずに達成できると
FRBが考える水準をなお大きく上回っているとした。

議長は異例の低金利を少なくとも2015年半ばまで
維持する公算が大きいとの認識を改めて表明。

「金融政策の正常化に着手する前に、景気回復の定着を
確実にしたい」としたが、来年以降の追加資産買い入れの
可能性についてはほとんど手掛かりを与えなかった。

FRBのバランスシート拡大がインフレ高進を招くとの
懸念もあるが、バーナンキ議長は賃金水準やインフレ期待は
抑制されているとし、インフレは差し迫った懸念ではないと述べた。

量的緩和第3弾(QE3)については、効果を評価するのは
まだ早いとしたが、資産買い入れが景気支援に有効とする
調査に言及した。

また2007年〜2009年にかけての金融危機により、
米経済の潜在成長率が一時的に押し下げられた可能性があり、
景気回復が異例に鈍い要因の1つとなっていると分析した。

一方で、住宅セクターやモーゲージ市場への打撃や
信用基準の厳格化など、一連の「向かい風」が、
より重要な要因であるようだとも指摘した。

ただ、住宅市場には「一部で明らかな改善の兆候」が
出ており、また金融状況の正常化に向け「緩やかながらも
著しい進展」が見られるとし、こうした阻害要因は
後退しているもようとした。

しかし、米財政政策が3つ目の向かい風で、
向こう数四半期により厳しい状況になる可能性が
あると指摘。

連邦政府の財政引き締めによる影響が州・地方政府レベルの
財政緩和を上回る公算が大きいとした。