貿易赤字は10月として過去最大、対中自動車輸出が8割減

財務省が21日に発表した10月貿易統計速報によると、
貿易収支(原数値)は5490億円の赤字となった。
赤字は4カ月連続。

海外経済の減速や沖縄県尖閣諸島(中国名・釣魚島)を
めぐる日中対立の影響で対中自動車輸出が大幅に落ち込んだことが
影響し、10月としては過去最大の赤字を記録した。

中国向け輸出は前年比11.6%減と9月(14.1%減)に続く
2桁減で、5カ月連続で減少した。

日本政府による尖閣諸島の国有化に抗議する
中国国内での自動車販売不振が顕在化した。

自動車輸出の減少幅は前年比82.0%減と
2001年10月(同88.3%減)以来の
大幅な落ち込みとなった。

2001年10月の減少要因について財務省
定かでないとしているが、当時は小泉元首相が
靖国神社を訪問した時期。

日中関係悪化の影響が
再燃した姿が浮き彫りになった。

このほか、自動車の部分品
(同28.1%減)の落ち込みが目立つ。

景気減速に加え「中国における自動車の
買い控えが影響した」(財務省筋)としている。

輸出は前年比6.5%減の
5兆1500億円で、5カ月連続で減少した。

減少品目は自動車(12.3%減)、鉱物性燃料(31.1%減)、
鉄鋼(9.7%減)など。

地域別では中国向けと欧州連合
EU)向けが大幅減少した。

欧州債務危機の影響で、EU向け輸出は
低迷を続けており、減少は13カ月連続。

減少幅は前年比20.1%減、
6月以降2割減が続いている。

一方、米国向け輸出は12カ月連続で増加したが、
伸び率は前年比3.1%増にとどまった。

為替レート(税関長公示レート平均)は
1ドル78.30円で対前年比2.1%の円安だった。

輸入は同1.6%減の5兆6990億円、
2カ月ぶりに減少した。

原粗油(19.6%減)、非鉄金属(28.1%減)、
石炭(18.0%減)などが減少した。

9月の反動減で、「10月1日からの環境税導入で
石油・石炭税が上がることへの影響が出た可能性」
財務省筋)とみている。

輸入原油単価は前年比6.4%上昇の
5万6919円/キロリットルで、
ドルベースでは同4.2%上昇の
115.6ドル/バレルだった。

先行きについて、財務省では「輸出については景気減速に伴う
EU・中国向け輸出の減少が続くか注意する必要がある。
輸入については、液化天然ガスや鉱物性燃料の価格変動が
輸入額に影響する。燃料価格の動向を注視する」
財務省筋)としている。