中国共産党の長老、改革派の最高指導部選出を阻む=関係筋

中国共産党の最高指導部選出をめぐる過程で、
江沢民・前国家主席李鵬・元首相といった
党の長老らが、党大会直前に行われた非公式の
投票の結果を利用し、改革派2人の選出を
阻んでいたことが分かった。

指導部に近い複数の関係筋が明らかにした。

党最高指導部である政治局常務委員の選出で、
党内抗争を抑えるために非公式の投票が
実施されたのは初めて。

2007年には、常務委員を含めたより幅広い指導部である
政治局員を選出するのに同様の投票が実施された。

新たに選出された政治局常務委員7人をめぐっては、
汪洋・広東省党委員会書記(57)と
李源潮・前党中央組織部長(62)の
改革派とされる2人が選から漏れた。
汪、李両氏ともにコメントを得られなかった。
党の報道対応部門もコメントを拒否した。

関係筋によると、新たな政治局常務委員の選出では、
旧政治局員24人と10人以上の長老が投票を行った。

旧政治局員と長老は数カ月間にわたり、北京の軍関係の
ホテルなどで少なくとも2回の非公式投票を含め、
10回以上の協議を重ねた。

この中で長老らは大きな影響力を及ぼし、10月に
強行実施した2回目の投票で李源潮氏の常務委員落選を
決定したという。

新たに選出された政治局常務委員7人のうち、
総書記に就任した習近平氏と、首相に来年就任する
李克強氏の2人を除いて5つのポストを8人で争った。

汪氏が選から漏れたのは、元重慶市トップで
失脚した薄煕来氏のスキャンダルが原因だった。

薄氏は、毛沢東時代を想起させる
「革命歌を歌おう」キャンペーンなどで知られる。

汪氏は広東省で民営企業の育成に努め、薄氏の
ライバルとみなされており、党や政府、軍内部の
毛沢東支持層を刺激しないようにするため、
党幹部らが汪氏の落選を決定したという。

関係筋の1人は「汪洋は、薄煕来の支援者が
トラブルを起こさないようにするため、
選から漏れた」と説明した。

一方、李源潮氏は、5月に実施された最初の投票では
政治局常務委員に選ばれたものの、党の長老らが
党大会のわずか数週間前に再度の投票を強行し、
常務委員から外すことを決めたという。

唯一の女性候補だった劉延東氏も選から漏れた。

関係筋によると、李氏は党組織部長としての立場から、
一部長老らの意見を無視し、多くの胡錦濤国家主席
側近を昇格させようとしたほか、自身に近い人物を
引き上げようとする長老らの意見を無視したことが
原因だという。

代わりに政治局常務委員に選ばれたのが
上海市トップだった兪正声氏だという。

中国共産党が政権を握った1949年以降、女性が
政治局常務委員に選ばれた例はなく、長老らも
この前例の変更を望まなかったことから、
劉氏も選から漏れた。