英中銀新総裁にカナダ中銀総裁が就任へ、国外から予想外の起用

英政府は26日、イングランド銀行(英中央銀行BOE)の
キング総裁の後任にカナダ銀行中央銀行)の
マーク・カーニー総裁を任命すると発表した。

カーニー総裁は来年5月まで現職を務め、
7月に英中銀の新総裁に就任する。
任期は5年。

議会で新総裁を発表したオズボーン財務相は「カーニー氏は、
経験や資質において次期英中銀総裁に世界で最もふさわしい人物」とし、
「中銀での長い経験や経済に関する国際的信認の高さ、
金融規制についての深い知識、それに民間金融機関での
実務経験を併せ持つ特異な人材」と任命理由を説明した。

英中銀は新たに銀行監督を担当することになっており、
カーニー総裁は金融規制改革でも指導力を発揮するとしている。

カナダ経済は世界的な金融危機下でも底堅さを維持するなど、
カーニー総裁の経済運営手腕には定評がある。

英国は金融危機時に複数の国内銀大手の公的支援
余儀なくされたほか、危機から4年を経た今でも
景気低迷から脱却できていない。

対照的に、カナダでは政府支援を受けた国内銀はなく、
金融危機時に失った雇用も比較的早い段階ですべて取り戻している。

カーニー総裁は金融安定理事会(FSB)の議長を現在務めているほか、
ゴールドマン・サックスでの勤務経験もある。

総裁はオタワで開いた記者会見で「これは英中銀、
そしてとりわけ英経済にとって極めて重要な
移行期となる」と指摘。

金融サービスセクターへの依存度低下を目指す
英経済を支援していく考えを示した。

その上で「英中銀が新たな責任を担い、物価及び
金融の安定に貢献するとともに、今後5年も
英経済の調整が継続するように確実にする上で、
私は建設的な役割を果たすことができる」と抱負を語った。

キング総裁はカーニー氏の新総裁起用について「彼は、
英中銀の新時代における指導者であり、素晴らしい選択」と指摘。

「カナダ中銀総裁への就任以降、マークとは緊密に連携してきた。
彼は中銀関係者の厚い信頼を集めており、彼が行ってきた
貢献を賞賛する」と述べた。

発表を受け、ポンドは米ドル、カナダドルに対して上昇。

カナダドルでは、1.5898カナダドルから1.5950カナダドルに上昇し、
2週間半ぶりの高値をつけた。

キング総裁の後任人事をめぐっては、タッカー副総裁の昇格が
最有力視されており、カーニー総裁自身も新総裁就任の
可能性を強く否定していた。

オズボーン財務相は後任人事を発表した際、「ポール・タッカー氏は
素晴らしい副総裁であり、今後も英中銀で優れた仕事を続けることを
望む」との見解を示した。

英中銀は来年から金融規制についても監督するため、
キング総裁のような学者肌の人物ではなく、卓越した
管理能力や金融市場での実務経験を持つカーニー総裁の
起用につながったとみられている。

カーニー総裁は英国出身ではないものの、
オックスフォード大学で学んだ経験がある。

オズボーン財務相によると、
総裁は英国で市民権を申請する予定。