ユーロ圏財務相とIMFがギリシャ債務削減策で合意、融資実行へ

ユーロ圏財務相国際通貨基金IMF)は26日、
ギリシャ融資の実施や債務削減策で合意した。

ここ3週間で3度目の協議は12時間に及んだ。

協議では、ギリシャ債務を
400億ユーロ削減するための措置で合意。

2020年までに同国債務を国内総生産GDP)比
124%に引き下げることを目指す。

当初は、2020年のギリシャ債務の対GDP比率を
「持続可能性」の基準とされる「120%」まで
引き下げる方向で交渉していたが、最終的には、
この水準には若干届かない「124%」での合意となった。

ユンケル・ユーログループ議長は協議後、ユーロ圏財務相
12月13日に、ギリシャ融資の実施を正式に承認する予定だと
明らかにした。

ギリシャは条件を満たせば、
最大437億ユーロを段階的に受け取る。

12月分は銀行向け238億ユーロ、
財政支援に106億ユーロ。

全体の3分の1弱を占めるIMFによる融資分は、
数週間以内に予定されているギリシャ国債
買い戻し実施後に支払われる予定という。

ギリシャの債務削減策では、公的融資の金利引き下げや、
返済期限を15年延長し30年間とすること、
10年間の利払い猶予で合意した。

実施済みのギリシャ向け2国間融資の金利は、
現在の資金調達コストプラス150ベーシスポイント
(bp)から、50bpに引き下げる。

欧州中央銀行(ECB)のギリシャ国債購入プログラムで
生じた利益110億ユーロを、各国中銀がギリシャ
還元することでも合意した。

また、民間投資家からギリシャ国債を買い戻すのに伴い、
ギリシャ側に資金提供をすることについて合意した。

当局者らは、ターゲットとしているコストは1ユーロ当たり
35セント程度との見方を示している。

買い戻しの規模については、市場の
不安定化を避けるため発表されなかった。

ただ当局者は会合前、100億ユーロの
数字に言及していた。

また、ドイツの主張により、ギリシャの債務返済を
確実にするため、一部の特定の収入や支援金を
「分離勘定」に入れることでも合意した。

ECBのドラギ総裁は「財務相の決定を歓迎する。
不透明感を後退させ、欧州やギリシャへの信頼感を
高める」と述べた。

ユーログループ議長はギリシャ国民に
とって新たな希望だと強調。

「単に資金の問題ではなく、ギリシャ国民、
ユーロ圏全体にとってより良い将来を約束するものだ。
断固とした改革機運、債務削減や成長回復に向けた
措置の目標未達や実施の甘さが見られた時代は脱した」
と述べた。

合意のニュースが伝わると、
ユーロはドルに対して強含んだ。

ユーロ圏財務相は、ギリシャ債務の対GDP比率を
2022年に「110%を大幅に下回る水準」まで引き下げるため、
一段の措置をとると表明。

ギリシャ基礎的財政収支黒字を達成することが
見込まれる2016年から、融資返済の一部免除が
必要になる可能性を示唆した。

ショイブレ独財務相は「ギリシャ基礎的財政収支
黒字化を達成するか、または達成する見通しとなり、
すべての条件を満たしたとき、必要であれば、
われわれは債務削減に向けた一段の措置を検討する」
としている。

次に問題になるのは、ユーロ圏各国政府が
ギリシャ融資の一部について返済を免除せずに、
ギリシャ債務が持続可能になるのかという点。

ドイツをはじめとする北部欧州諸国は、対ギリシャ公的融資の
返済免除案には断固反対している。

ただ、欧州連合EU)当局者は、来年のドイツ総選挙後には
反対姿勢が緩む可能性があるとの見方を示している。

IMF筋は、財政再建プログラムの完了後、ギリシャ
融資返済を免除することが、債務を持続可能なものにする
最も簡単な方法だと述べている。