米政府、中国の為替操作国認定を再び見送り

財務省は27日公表した主要貿易相手国の
為替政策に関する報告書(為替政策報告書)で、
中国の「為替操作国」への認定を見送った。
元相場の上昇を踏まえた判断。

ただ、人民元は依然
過小評価されていると指摘した。

また韓国に為替介入の自粛を求めた。

米政府は1992年5月から1994年7月にかけ5回、
中国を為替操作国に認定した。
以来、18年経過している。

報告書は、人民元が2010年6月以降、実質ベースで
12.6%上昇したこと、2011年第3・四半期以降、
中国当局の市場介入が「大幅に」減少し、
資本規制が緩和されたことを挙げ、「これらの
進展に鑑み、財務省は、(為替操作に関する法律が)
定める基準を中国が満たしていないと結論付けた」と述べた。

その上で「しかしながら、入手可能な証拠は、
人民元が依然大幅に過小評価されていることを
示している」と指摘した。

元相場の一段の上昇は中国消費者の購買力を高め、
経済の均衡に資するとの見解を示し、中国に
「非常に高水準な」外貨準備の圧縮や、
為替介入に関するデータの公表を求めた。

米政財界では、元が不当に低く抑えられ、貿易面で
中国企業が優位に立っているとの不満が依然多い。

オバマ大統領が再選を果たした大統領選挙戦でも、
共和党ロムニー候補が「自分が大統領になれば
就任初日に中国を為替操作国に認定する」と公約していた。

だが、国際通貨基金IMF)が7月に元相場に
関する見解を修正するなど、元は公正価値に
向かっているというのが国際コンセンサスになりつつある。

中国の為替政策を批判し続けている民主党のシューマー上院議員は、
制裁を念頭に、中国を為替操作国に認定すべきとする声明を発表したが、
中国ビジネスを手掛ける約240社の米企業を代表する
米中ビジネス評議会(USCBC)は、認定見送りを歓迎した。

シューマー議員は声明で「オバマ政権は、中国に
他の国と同じルールでプレーさせるべき」と訴えた。

これに対しUSCBCの代表を務めるジョン・フリスビー氏は
「為替レートは、米貿易収支や雇用とほとんど関係していない。
われわれは、市場アクセスの障壁撤廃や知的財政権の保護など、
より重要な問題に対処する必要がある」と指摘した。

報告書は、韓国の為替介入に言及し、韓国側はウォン相場の
過度な変動を抑えるのが目的と説明しているが、2012年を
通じて介入し続けていると指摘した。

IMFもウォンが最大10%
過小評価されていると指摘している。

報告書は「われわれは引き続き、韓国当局に対し、
介入は市場が不安定になった場合だけに
とどめるよう求めていく」としている。