FRBが外銀米事業への新規則適用を検討、自己資本基準など強化=タルーロ理事

米連邦準備理事会(FRB)のタルーロ理事は28日、
大手外資系銀行の米国事業について、新たな流動性
自己資本規則を適用するよう求めた。

国内銀に対する規制と足並みをそろえ、
金融システムの保護を目指す。

構想では、大手外資系銀行の米事業に
中間持ち株会社(IHC)の設立を義務付ける。

その上で米銀と同等の自己資本規則を適用するとともに、
流動性基準についても国内規則に「ほぼ沿った」内容にする。

タルーロ理事は講演で「外資系銀行の米国部門を
より標準化された規制枠組みの対象とすることで、
強化されたプルデンシャル基準を米銀と同じように、
外銀に対しても一貫して適用することが可能になる」と指摘。

「強化されたプルデンシャル基準の対象となる米銀も同様に、
FRBは移行期間などを通じて、新制度による影響を最小限に
抑えるよう確実にする」としている。

新たな規則の適用計画は、グローバルに事業を展開する
大手金融機関がもたらすリスクに対して、規制当局が
依然懸念していることを示唆している。

タルーロ理事は新規則について、大手外銀の米国部門に対する
監督を海外の規制当局に頼る状況を事実上変えることができる
「折衷案」と説明した。

またFRB内で新規則の詳細に関する協議が行われていることを
明らかにし、数週間以内に計画の詳細を公表するとの見方を示した。

FRBには、金融危機が深刻化していた2008年終盤に、
外資系銀行の米国部門に数十億ドル規模の緊急支援提供を
余儀なくされた苦い経験がある。

銀行支援は国民の反発を呼び、金融規制改革法
(ドッド・フランク法)の制定につながった。

今回のタルーロ理事の提案は、英バークレイズや
ドイツ銀行など欧州銀の国際的な資金調達の
仕組みに影響を与え、米国部門に資本増強を
促す可能性がある。

タルーロ理事は自己資本流動性規制の強化は
「資本や流動性を一元的に管理している国際的な
金融機関のコストを徐々に増やし、柔軟性を
低下させる可能性がある」と認めた。

「だが流動性や資本を現地で管理すれば、金融安定全般の
観点からだけでなく、金融機関にとっても利点がある」とした。

また銀行は過去10年、短期資金やよりリスクの高い
取引への依存度を高めてきたとし、米当局は外資系銀行の
自己資本水準により「完全に安心することはできない」とした。