ポルトガル、期間3年以上の債券をさらに発行する必要=アスムセンECB専務理事
欧州中央銀行(ECB)のアスムセン専務理事は、
4日付のポルトガル紙NEGOCIOSに掲載された
インタビューで、ポルトガルがECBの債券買い入れ
プログラムの対象となるには期間3年以上の債券を
さらに発行する必要がある、との認識を示した。
アスムセン専務理事は、ポルトガルは10月に債務スワップの
一環として3年債を発行したことで「著しく前進」したとしながらも、
「それだけでは不十分だ」と指摘。
「債券の大半は国内投資家が購入した。そのことは、
海外の投資家がまだポルトガルに戻っていないことを
意味する」と述べ、3年債を1度発行しただけでは
十分ではない、との考えを示した。
ポルトガルがECBの新たな債券買い入れプログラム
(OMT)を利用するために必要な措置については
「それなりの量の期間が長い債券を発行する
必要がある」と述べた。
ポルトガルは2011年4月に救済を受けた後、債券市場に
復帰するための第1弾の措置として、2013年に満期を
迎える38億ユーロ(49億7000万ドル)近くの債務を
3年債にスワップした。
ポルトガルの国内総生産(GDP)や可処分所得が落ち込み、
債務削減目標が達成できなくなるリスクがあるかとの質問には
「そうは思わない」と否定。
ポルトガル中銀が2013年のGDP伸び率見通しを
マイナス1.6%に下方修正したにもかかわらず、
ECBは依然としてマイナス1%を基本シナリオ
としている、と述べた。
ポルトガルは2012年の成長率がマイナス3%となる
見通しで、2013年にはリセッション(景気後退)が
3年目に入るとみられている。
アスムセン専務理事は、ポルトガルが財政再建プログラムを
完全に実施すれば公的債務は持続可能だと指摘。
ポルトガル経済のあらゆるセクターでレバレッジ解消が
秩序だって進んでおり、信用危機は起きていないとした上で、
「開発銀行」設立などの措置が信用へのアクセス改善に
つながる可能性がある、との認識を示した。
一方、ポルトガルにとって、世界経済の動向に左右される
輸出ダイナミクスがリスクの一つだとしながらも、輸出の
見通しは若干明るいとの見方を表明。
「欧州は昨年大きく前進し、米国は財政の崖に対処できると
信じている。中国もハードランディングを回避できそうだ。
私は他の人々ほど悲観的ではない」と語った。
また、ユーロ圏でデフォルト(債務不履行)が
起きるとは見ていないと述べた。
欧州の銀行同盟に関しては、2014年初めまでに
全面稼働することはないが、欧州共通の預金保険制度を
創設することは優先課題ではない、と述べた。