一人の委員、物価上昇率1%達成まで無期限緩和と明記を提案=11月の日銀要旨

日銀が26日、11月19〜20日に開催した
金融政策決定会合の議事要旨を公表した。

これによると、委員らは金融政策による為替への影響を
強化するため「一段の工夫が必要」として議論を繰り広げた。

一人の委員は、現在の実質的なゼロ金利政策
資産買い入れ基金による金融緩和を、
物価上昇率1%を達成するまで期限を明記しない
オープン・エンド(無期限)とすると公表文に
明記することを提案していたことがわかった。

また1人の委員は、超過準備への付利撤廃について、
市場機能が低下するなど問題はあるが、「円の魅力を
減ずることで為替相場に働きかける可能性がある」と指摘した。

別の1人の委員は、短期国債の利回りを低下させる手法として
「付利を維持したまま短国買い入れを増額することも
考えられる」と述べた。

佐藤健裕氏と木内登英氏とみられる委員は、
物価上昇率1%が見通せるまで緩和を続けるとの
文言(コミットメント)を変更すれば、市場の予想に
働きかけることができるとして、前回10月会合と
同様の問題提起を行った。

景気認識をめぐる議論では、複数の委員が日本経済は
「今春以降、景気後退局面に入っている可能性が高く、
今後のポイントは景気後退の深さと長さに移っている」
との見方を示した。

景気回復時期について、複数の委員は「来年半ばごろを
イメージしている」と述べたが、一人の委員は
「来年後半までずれ込む可能性もある」とした。

多くの委員は「海外経済が減速局面から脱したとしても、
日中関係や対外競争力低下の可能性などから、輸出や
生産の持ち直しに直結しないリスク」も指摘した。

7〜9月のGDP国内総生産)1次速報で実質設備投資が
大きく減少したことについて、多くの委員は「企業マインドが
悪化してきており、基調に変化が生じているかどうか
注意深くみていく必要がある」と述べた。

ただ、1)建築着工床面積の増加、2)機械受注の非製造業の
堅調さなどから、「2次速報値をみた上で基調判断する必要がある」
と述べた。

米国経済については、複数の委員が「『財政の崖』に加え、
債務上限問題を巡る米議会交渉の帰すうもリスク要因」と述べた。

委員らは「財政の崖」をめぐる協議が不調に終われば
「米景気の大きな下押し要因となる」との懸念を共有。
複数の委員は「財政の崖」が米GDP国内総生産)に
及ぼす影響は、増税や歳出削減の中身のみならず乗数効果
大きさにも左右さえるため「不確実性が大きい」とコメントした。

日銀は11月19、20日金融政策決定会合で金融政策の
現状維持を決める一方、景気の当面の判断を
「弱めに推移する」に下方修正した。

会合後に会見した白川方明総裁は、自民党安倍晋三総裁が
主張する強力な緩和手法に対して慎重な見方を表明した。