FRBが2007年のFOMC議事録全文公開、金融危機の兆候察知できず

米連邦準備理事会(FRB)が公開した2007年の
連邦公開市場委員会FOMC)議事録全文で、
FRBが2007年ほぼ大半にわたり、住宅市場や
銀行セクターの問題が他に波及するものではなく、
米国の景気に悪影響を及ぼす可能性が
低いとみていたことが明らかになった。

2007年夏に信用市場の低迷という形で赤信号が
灯り始めていたにも関わらず、FRBはこの問題の
影響は限定的かつ短期的との見解を示していた。

ニューヨーク連銀のガイトナー総裁(現財務長官)は、
8月10日の電話協議で、主要な金融機関が資金難を
抱えているという兆候は見当たらないとの見方を示していた。

バーナンキ議長も同様に、金融危機の影響に対する
リスクを過小評価していたことが分かった。

2007年12月には主要な金融機関について、
破綻もしくはそれに近い状況になることを
見込んでいないと述べていた。

当時、公開市場操作デスクを統括していた
ダドリー現ニューヨーク連銀総裁は、8月の電話会議で、
最終的に破綻したワシントン・ミューチュアル
カントリーワイドの具体名を挙げていた。

電話協議を受けてFRBは、金融機関に
資金を供給する準備があると発表。

FRBによる危機対応の第一弾となった。

2007年初めには、FRBはその後に起ころうとしている
事態を明らかに把握できていなかったようだ。

年初にはFRB当局者からインフレリスクの指摘があり、
8月に入るまでFOMCでは金融引き締めバイアスを
維持することが示されていた。

ミシュキン理事は1月のFOMCで、「何か常軌を
逸した動きや持続的なパターンはみられない。
このため、本当に好ましくないことは
おこらないと確信できる」としていた。

5月までに住宅市場やサブプライムローン問題が
表面化し始めたものの、住宅価格が最終的に安定するか、
下落するのかに関して見解は分かれていた。

多くの痛みを伴わずに切り抜けられる
というのが総体的な見方だった。

バーナンキ議長は「住宅市場は依然として弱く、
大きな下押しリスクとなり得るものだ。
サブプライム問題を一因に、住宅需要が安定するか
どうかの判断は依然として困難」としていた。