アスムセンECB専務理事、中銀への政治的圧力に懸念表明

欧州中央銀行(ECB)のアスムセン専務理事は22日、
構造的な経済問題の対処に向け、政府が中銀に対し
追加緩和を講じるよう圧力をかけることに懸念を表明した。

日銀がこの日、金融緩和の強化に踏み切ったことを受け、
専務理事はロイターに対し、「問題が構造的な性質を
帯びている場合、中銀に対し追加緩和を講じるよう
公的な圧力がかかることを懸念する理由が存在する」と語った。

その上で「一段の緩和政策をもってしても、
構造的な問題を解消することはできない」と言明した。

日銀は21、22日に開いた金融政策決定会合で、
物価上昇率目標を従来の1%から2%に引き上げたほか、
期限を定めず資産買い入れを実施していく方針を決定した。

政府と日銀がデフレ脱却への
連携強化を「共同声明」として発表した。

アスムセン専務理事は「中銀の独立性は貴重なもので、
政治に支配されていると映れば、市場の信任を
損なうことになる」と述べた。

イトマン独連銀総裁も21日、日本政府が日銀に
さらなる金融緩和を迫ったことは、日銀の独立性を
危険にさらしていると指摘した。

アスムセン専務理事はまた、為替相場はECBの
政策目標ではないとの認識を示し、7カ国財務相
中央銀行総裁会議(G7)が為替協議の場として
ふさわしいと述べた。

「通貨安戦争と言う言葉も概念も好まない。
国際的な協力(によって対処すること)が
望ましいと確信している。G7は長年、
主要通貨をめぐる問題を協議する適切な場と
なってきている」とし、「為替相場を政治的に
利用すべきではない」と語った。