キプロス問題を過小評価すべきでない=アスムセンECB専務理事

欧州中央銀行(ECB)のアスムセン専務理事は、
キプロスの金融問題について、なおぜい弱なユーロ圏の
信頼感を損ねる可能性があり、過小評価すべきでないと述べた。
欧州連合EU財務相理事会の合間に、ロイターに対して語った。

アスムセン専務理事は「もしキプロスの状況が無秩序な
展開となれば、ユーロ圏の安定化に向けて2012年に
成し遂げた前進が、台無しになってしまう。キプロスは、
国の規模こそ小さいものの、ユーロ圏のそのほかの
地域に対して、システミックだと言える」との見方を示した。

キプロス国内総生産GDP)が
ユーロ圏全体に占める比率はわずか0.2%。

ユーロ圏の一部の国はこれまでに、キプロスについて、
ユーロ圏への「システミックな関連性が薄い」と指摘している。

ユーロ圏に「システミックに関連していること」は
支援の前提となっている。

専務理事は「正常な状況下では、デフォルト
債務不履行)の直接的な影響は限定的だろう。
支援を講じなければ、キプロスがデフォルトすることは
明白だ」と指摘。

「われわれは同時に、状況が正常でないことを留意すべきだ。
OMT(新たな国債買い入れプログラム)やその他の重要な決定で、
市場は沈静化したが、状況はなおぜい弱だ」と述べた。

キプロス問題をめぐっては、同国がユーロ圏全体への
脅威となるか明白でないとの立場をショイブレ独財務相
繰り返し示すなど、システミックな影響について
懐疑的な見方も出ている。

ショイブレ財務相は21日夜、記者団に対し、
ESM条約の規定に基づき、ユーロ圏への
システミックな関連性を極めて明確に
立証する必要があると述べた。

一方アスムセン専務理事は、キプロスの問題が
銀行セクターを経由してギリシャに波及し、
ユーロ圏全体にネガティブなシグナルを
送る恐れがあるとし、とりわけ市場への
完全復帰を目指す国にとっては
大きな痛手になると指摘した。