メルケル独首相が日本に懸念、通貨安競争リスク言及

ドイツのメルケル首相は24日、金融緩和の強化に
踏み切った日本について「懸念していない訳ではない」とし、
通貨安競争のリスクに言及した。

スイスのダボスで開催されている世界経済
フォーラム年次総会(ダボス会議)で述べた。

為替操作が競争をゆがめる恐れがあるかとの問いに対し、
首相は「不安が全くない訳ではない」と答えた。

その上で「日本に関し、現時点で全く懸念していない
とは言い難い」とし、「中央銀行は、政治の後始末や
競争力の欠如を補うためのものではないというのが
ドイツの立場だ」との考えを示した。

メルケル首相は、欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏の
債務不安国への支援として打ち出した債券買い入れ
プログラムで、経済改革の実施を発動の条件したことに言及し、
中銀は制限を設けることが肝要だと主張した。

「中銀は、政治決定に起因する構造問題を解決することは
出来ない。橋渡し役を果たすことはできる」とした。

その上で、ECBが時間を稼いでくれた間に、
欧州の政治家は行動する責任があると述べた。

メルケル首相はまた、政治家が困難な改革を断行するには、
危機時のような圧力が必要なこともあるとの立場を示し、
「欧州諸国が困難な状況に置かれていれば、より良い
明日のために構造改革を実施しなければならない、
というのが私の結論だ」と言明した。

ダボス会議では、欧州は十分緊縮措置に取り組んだ
との指摘も上がっていたが、首相は賛同しない
考えであることを伺わせた。

欧州にとり若者層の失業が「最大の重荷」との認識も示し、
政治、社会不安の発生を防ぐ措置が必要な
可能性があると述べた。