米FOMCが債券買い入れ継続を決定、成長一服との認識示す

米連邦準備理事会(FRB)は29〜30日の連邦公開市場委員会
FOMC)で、月額400億ドルのモーゲージ担保証券(MBS)と、
450億ドルの国債の買い入れを継続することを決定した。

声明では、経済成長は一服した、との認識を示したが、
天候など一時的な要因が背景にあると指摘した。

FOMC声明では、米国の雇用市場の改善ペースは
引き続き控えめとして、労働市場の見通しが著しく
改善するまで、資産購入を続ける方針を改めて示した。

FRBは「天候関連の混乱やその他の一時的要因が主因となり、
経済活動の伸びがこのところ一服したことを示唆している」
との認識を表明した。

商務省がこの日発表した第4・四半期の国内総生産
GDP)速報値は、年率換算で前期比0.1%減。

在庫投資の鈍化や政府支出の減少が響き、リセッション
(景気後退)から脱却した2009年第2・四半期以来
3年半ぶりのマイナス成長となった。

FRBは2008年終盤以来、事実上のゼロ金利政策
続けており、証券買い入れによりバランスシートは
およそ3兆ドルに拡大している。

2007〜2009年のリセッションからの回復に勢いはないが、
FOMCは、金融政策の支援を背景に回復は順調に進んでいると
自信を示した。

FOMCは、適切な緩和政策により経済成長が
緩やかなペースで進み、失業率はFOMC
2つの責務と整合すると考える水準に向けて
段階的に低下すると予想している」とした。

この文言は、昨年12月の前回FOMCと比べて、
慎重ながらもより楽観的と言える。

12月FOMCでは「十分な政策緩和がなければ、
経済成長が労働市場の持続的な改善を実現するために
十分な強さとならない可能性があることをFOMC
引き続き懸念している」としていた。

FOMCは、前回と同様、向こう1〜2年のインフレ見通しが
FOMCの長期目標である2%から0.5%ポイント以内に収まる限り、
失業率が6.5%に低下するまで、フェデラルファンド(FF)金利
ゼロ付近に維持する、との方針を表明した。

FOMCは「家計支出や企業による固定投資は増加し、
住宅セクターは一段と改善した」と指摘。

欧州など国際金融市場については「緊張は幾分後退した」とし、
「国際金融市場の緊張は引き続き経済見通しに対する
著しい下方リスク」としていた12月声明の文言を削除した。

一方で、「引き続き経済見通しに対する
下方リスクがある」とも強調した。

FRBの刺激策継続に唯一反対票を投じたのは、
今回のFOMCで初めて投票権を持った
カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁。

これまではラッカー・リッチモンド地区
連銀総裁が反対票を投じ続けていた。

FRBの債券買い入れプログラムは、回復加速と
失業率低下を狙った前例のない措置の一環。

大半のアナリストは、労働市場の見通しは今年、
FRBが望むほどは回復せず、債券買い入れは続く、
とみている。

しかし今月発表された12月FOMCの議事録では、
数人の委員がプログラムは2013年半ばまでに
停止すべきと考えていることが判明した。

債券買い入れの利点はコストで
相殺される、との意見が出たという。

政策当局者が警戒しているのは、資産価格バブルが
発生するリスクと、国債MBS市場の機能が損なわれることだ。

一部の委員は、FRBが将来、バランスシート縮小のために
保有債券を売却して損失が発生すれば、その独立性に対し
政治的な圧力が強まることを警戒している。

共和党FRBに批判的な立場を崩していない。

ヘンサーリング下院金融委員会委員長は
FOMC後に声明を発表。

「成長を促進する上で金融政策にできることは少ない。
FRBは非常に緩和的な金融政策スタンス維持に
引き続きコミットすることでリスクを冒している」
と述べた。