G7声明、文字通り受け止めるべき=キング英中銀総裁

イングランド銀行(英中央銀行)のキング総裁は13日、
為替に関する日米欧7カ国(G7)の声明は文字通りに
受け止めるべきとの見方を示し、解釈しようとする
動きがあることは遺憾だと表明した。

総裁は記者会見で「政府が国内経済成長を支えるために
金融刺激措置を活用すれば為替相場に影響が生じる。
こうした影響が及ぶのは容認すべきだ」と発言。

「短期間で各国が成長を押し上げることを望むなら、
為替相場への影響を伴う金融面などの措置を当該国が
講じることを認める必要があり、為替の動きは
変動相場の流れに任せるべき」との見方を示した。

また「昨日、声明に署名した際、当局者と呼ばれる
他の筋が声明発表前後に根拠のない説明を行い、
声明で述べられていないことを主張するとは
思いもしなかった」と述べた。

匿名のG7高官が声明は円の過度な変動への懸念を
示唆したものだと語ったことについて、声明発表に
つながったやり取りに詳しい関係筋は、日本が
すぐさまデフレ不況対策に理解が得られた
との認識を示したことへのいら立ちによるものだった
可能性があると指摘した。

英インフレ報告、約1年半の目標達成後ずれ見込む
イングランド銀行(英中央銀行)は13日に発表した
四半期インフレ報告の中で、英国のインフレ率が
目標の2%を下回るのは2016年第1・四半期
との見通しを示した。

一方で、低迷する国内経済の成長を促す一段の
資産買い入れについて、買い入れ政策がなし得ることには
限界があるとしながらも、依然オープンであることを示した。

インフレ報告では、英経済は向こう3年間は
「緩やかながら持続的に成長する」との見通しを
示した上で、英国の経済生産は2015年までは、
金融危機前に見られたピークの水準を上回らない
見通しとした。

中銀は「世界経済の需要や国内経済の供給能力の弱さを
考慮すると、成長は過去の例と比べて、弱いものになると
予想される」と指摘した。

2年後の英国内総生産GDP)伸び率は、金利
市場予想通りに推移すれば1.9%前後とし、
11月予想の2.0%を若干引き下げた。

キング総裁は報告公表後の記者会見で、「景気回復に
向かっているが、道のりは決して平坦ではない」とし、
「今回のリセッション(景気後退)は通常とは異なっており、
回復もこれまでとは異なる」との見方を示した。

インフレ報告では、2年後の英消費者物価指数(CPI)
上昇率について、金利が市場予想通りに推移すれば
2.3%前後になるとの見通しを示した。

11月に予想していた1.8%から大幅に上方修正した。

インフレ率が目標の2%を下回る時期については
2016年第1・四半期とし、11月の予想より
1年6カ月遅くなるとの見通しを示した。

インフレ率は今年第3・四半期に
3.2%でピークに達するとした。

キング総裁は、必要なら経済への
金融緩和は妨げられないと指摘。

「インフレ率が目標を上回る時期がさらに長引く
との見通しは、実体経済のぜい弱性と
合わせて考える必要がある」と述べた。

その上で「インフレの目標達成を急げば、
景気回復の腰を折り、中期的にインフレ目標
下回る恐れがある」とした。

英中銀は、資産買い入れプログラムの規模を
3750億ポンドに据え置いてきた。

総裁は、買い入れ規模を増やすなどの量的緩和QE)は
万能薬ではないとし「一般的な金融刺激策で
達成できることには限度があると認識する必要がある」
と述べた。

キング総裁が追加の量的緩和の効果に対し懐疑的な見方を
示したことを嫌気し、英国債は下げ幅を拡大した。

一方、ポンドは必要なら追加緩和を実施する用意があるとした
総裁の発言に圧迫され、対ドルで一時半年ぶり安値をつけた。

報告は、インフレ率上昇の主要因はポンド安や、
政府が決定に関与する物価の上昇にあると分析し、
「インフレ率が長い期間ではあるが一時的に
目標を上回ることを見越しておくことが適切」とした。

これを受け、一部では中銀がインフレ抑制に
動く公算は小さいとの見方も出ている。

英国のインフレ率は2009年12月以降、
目標の2%を上回っている。

インフレが高止まりしていることが、中銀が
資産買い入れプログラムの規模を3750億ポンドから
拡大しない理由の1つとされている。