ルー米次期財務長官が強いドルへの支持表明、税制改革に意欲

次期米財務長官に指名されているジャック・ルー氏は13日、
上院財政委員会の指名承認公聴会で、強いドルを支持すると
言明するとともに、税制改革に優先的に取り組むべきとの
考えを示した。

ルー氏は質疑応答で「米財務省は民主・共和両党の政権下で、
強いドルが米経済の成長促進及び、生産性・競争力の
向上にとって最大の利益との政策を長らく堅持してきた」とし、
長官に就任しても「この政策を変えることはない」と述べた。

また中国人民元は、なお過小評価された水準にある
との考えを示し、「日米欧7カ国(G7)や20カ国・地域
G20)などの場を通じて、市場原理に基づく為替政策の
推進に取り組んでいく」と述べた。

公聴会では、税制改革の必要性に議論が集中し、
とりわけ法人税に関する質問が相次いだ。

オバマ大統領は現行35%の法人税率の28%への引き下げを、
共和党は25%への引き下げをそれぞれ求めている。

ルー氏は法人税率の引き下げをはじめ、税制改革を
優先課題として取り組むべきだと主張し、「課税ベースの
拡大に向け、どの程度まで踏み込むかが課題」と述べた。

ただ、1980年代の税制協議に関わった経験から改革が
容易ではないことも認識していると発言。

「原則として、税制改革について容易な決定が
多くあるとすれば、それらはずっと以前に
実施されているだろう」とし、「困難な選択が
求められる」との見方を示した。

公聴会では、財政政策をめぐる民主党共和党の相違が
浮き彫りになったが、ルー氏は超党派を基本に議会と
協力することへの意欲を繰り返し表明した。

先の金融危機で米シティグループ公的資金注入を
受ける直前に、幹部だったルー氏が94万ドルの
ボーナスを受け取ったことなどをめぐっても質問が飛び交った。

ルー氏はこれに対し、業界の基準に
見合う額だったと冷静に答えた。

ケイマン諸島に関連したファンドに行った
5万6000ドルの投資についても問われ、
ケイマン諸島のファンドに関与しているとは
当初把握していなかったと応じた。

また売却により損失が生じたとし、投資により
優遇税制の恩恵も受けていないと語った。

ルー氏の財務長官指名にあたり、金融業界幹部からは
金融市場に関する同氏の経験不足を懸念する声も上がっていた。

だがルー氏は、クレジットデリバティブや金融規制についての
突っ込んだ質問にも首尾よく答えた。

公聴会が概ね、穏やかな雰囲気で行われたことに加え、
ルー氏も上手くこなしたことで、承認の公算が
大きくなっている。

ボーカス上院財政委員長は、同委でのルー氏の
指名承認投票について、2月下旬の休会明けとなる
可能性が高いと述べた。

その後、上院本会議の承認を経て、
正式に就任する運びとなる。