金融政策、為替相場に影響与えること目的とはしていない=日銀総裁

白川方明日銀総裁は14日、金融政策決定会合後に記者会見し、
大胆な金融緩和を軸とした安倍晋三政権の経済政策に対し
通貨安競争との批判が一部から出ていることに関連し、
金融政策は国内経済の安定を目指して各国が
しっかり政策を行うということであり、為替相場
影響を与えることを目的とはしていない、
との見解を示した。

また、日銀が掲げている消費者物価の前年比上昇率を
2%とする目標の達成に向けた考え方については、
政府と日銀の間にずれはないと語った。

日銀は金融政策維持を決定、景気判断を引き上げ
日銀は13、14日に開いた金融政策決定会合で、
政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を
0〜0.1%程度に、基金による資産買入計画を
それぞれ現状維持とすることを全員一致で決めた。

1月の前回会合で2%の物価目標の導入など
金融緩和の強化策を打ち出して間もないことから、
景気刺激や円高修正の効果を見極めるのが適当と判断した。

景気判断は「下げ止まりつつある」に上方修正した。

会合では、宮尾龍蔵審議委員が、実質的ゼロ金利政策
2%の物価目標の実現が見通せるまで継続する議案を
提出したが、反対多数で否決された。

前回会合で「弱めに推移している」
としていた景気判断を上方修正した。

輸出の減少ペースが緩やかなになっていることや、
公共投資個人消費など内需底堅い動きを背景に、
生産が「下げ止まりつつある」ことなどが背景。

前回会合では、輸出と生産について
「減少している」と判断していた。

景気の先行きについては、「当面横ばい圏内」の推移を
見込んでいるが、その後は海外経済の減速脱出につれて
「緩やかな回復経路に復していく」との見方を維持していた。

海外経済についても、「減速した状態が続いているが、
持ち直しに向けた動きもみられている」と回復の兆しを
指摘し、判断を引き上げた。

これを踏まえた金融政策運営は、前回会合で決定した
消費者物価の前年比上昇率で2%とする「目標」を
「早期に実現することを目指す」とし、実質的な
ゼロ金利政策と金融資産の買い入れなどの措置について
「それぞれ必要と判断される時点まで継続することを通じて、
強力に金融緩和を推進する」と表明した。

宮尾委員の提案は、このうち実質的なゼロ金利政策について、
物価目標が見通せるまで継続することを約束するもので、
実質的にゼロ金利政策の長期化を狙ったものとみられる。

また、日銀は物価の安定による経済の健全な発展に
資することを理念として金融政策を運営するとともに、
「金融システムの安定確保を図る責務を負っている」と明記。

競争力と成長力の強化に向けた幅広い主体の取り組みの
進展によって「持続可能な物価の安定と整合的な
物価上昇率が高まっていく」との認識を示した。