新政権の政策評価は時期尚早=S&P小川氏

S&Pのソブリンアナリスト、小川隆平氏は18日の電話会議で、
安倍晋三政権が発足後に打ち出した政策を評価するには
時期尚早とした上で、据え置きを決めた日本のソブリン格付けの
判断について、前政権と政策が大きく変わったため、
仕切り直しに近い考え方をしているとの認識を示した。

小川氏は、安倍政権がこれまでの政権と全く異なる財政政策と
金融政策のコンビネーションを駆使した政策を打ち出しているとし
「政策を評価するには早すぎる部分があるため、様子を
見てみたいというのは正直なところだ」と述べた。

また、過去1年のトラックレコードを踏まえると、
高水準の財政赤字に歯止めが掛っていないことや
政府債務の対実質国内総生産GDP)比率が上昇するなど、
日本の財政状況は悪化していると懸念を示しながらも、
「必ずしも前と同じペースで格下げに向けて
時計が動いているわけではない」と指摘した。

S&Pは18日、日本の外貨建て・自国通貨建ての
長期ソブリン格付けを「AA─」に据え置いた。

格付けの方向性を示すアウトルックは「ネガティブ」を継続。

アウトルックは3分の1以上の確率で、2013年度中に
格付けを引き下げる可能性があることを示している。

小川氏は、日本の2012年10〜12月期実質GDP伸び率が
3期連続のマイナスとなったことに触れ「2012年度の成長率は
1%に届かない可能性があるが、先行き2013年度、2014年度、
2015年度のマクロ経済がどのように動いていくのか、
(格付け判断で)非常に大きなポイントになる」とみている。

2014年と2015年に予定されている消費税率引き上げについて
増税分がすべて財政再建に寄与するとしても、それだけでは
財政赤字の穴埋めに足りない」と指摘。

マクロ経済への影響を踏まえると、財政再建にどの程度
プラスに寄与するか不透明と述べた。