基金での長国買い入れ、残存5年への長期化に複数委員が言及=日銀議事要旨
日銀が19日に公表した1月21、22日開催の金融政策決定会合の
議事要旨によると、資産買入基金による長期国債の購入について、
複数の委員が残存期間の5年程度までの延長に言及していたことが
明らかになった。
現行は残存1年以上3年以下が対象となっており、
買い入れ国債の年限長期化はさらなる緩和強化となる。
日銀は同日の会合で、消費者物価の前年比上昇率で2%とする
物価目標を導入するとともに、その達成を目指して期限を定めずに
市場から資産を買い入れるオープン・エンド型の緩和策の導入を決定した。
会合では、基金による無期限の資産買い入れについて、
2014年から毎月、長期と短期の国債を中心に13兆円程度を
購入することを決定した。
これに対して1人の委員は、直ちに新たな買い入れ方式を
導入することも考えられるとしたが、「政策委員会として
一致した明快なメッセージを出すことを優先したい」と
2014年からの導入に賛成した。
複数の委員は、短期国債の買い入れ増は「短期ゾーンの金利低下を
通じて、為替市場へ働きかける観点からも重要」と指摘。
長期国債の買い入れでは「残存年限を5年程度まで延長することも
考えられる」と複数の委員が追加緩和策に踏み込んだ。
基金による資産買い入れは、実質的なゼロ金利政策とともに
「それぞれ必要と判断される時点まで」継続する。
これに関して1人の委員は、政策委員の経済・物価見通しの期間を
1年延長した上で、見通しの中央値が「1%台半ばを超えるまで」
実質的なゼロ金利政策と無期限の資産買い入れの継続を
明示することも一案と発言。
また、ある委員は、これらの政策の効果と副作用の違いを
強調することは「かえって時間軸の効果を低下させる
おそれがある」と政策効果の説明を慎重に行うことを求めた。
2%の物価目標の導入には、佐藤健裕委員と木内登英委員が反対。
両委員は、2%の物価上昇率は、実績を踏まえた場合、
「持続可能な物価安定」を大きく上回るとし、「これをいきなり
目指して政策を運営することは無理がある」と指摘。
2%目標を掲げれば、「金融政策の信認をき損したり、市場との
コミュニケーションに支障が生じるおそれがある」としている。
同会合では、政府と日銀が早期のデフレ脱却に向けた連携を
一段と強化するため、2%目標を盛り込んだ政府との
「共同声明」も決めた。
複数の委員は「政府との間で、日本経済が直面する
課題についての認識の共有が十分に図られているか疑問」
と指摘。
1人の委員も、政府が2%目標に達成に向けた責任を
分かち合うことが明示されなければ「効果は限定的」とし、
政府による競争力・成長力の強化に向けた取り組みを
求めていたことが明らかになった。