森本日銀審議委員、強力緩和推進へ基金残高達成に努力

日銀の森本宜久審議委員は20日高知市内で講演と記者会見を行い、
日銀の金融政策運営について、景気回復を強力な金融緩和で
後押ししていく姿勢を示したが、具体的な緩和手法への言及は避けた。

緩和政策の柱である資産買入基金について、様々な工夫をしながら
残高目標の達成に努力する方針を強調した。

森本委員は、1月の金融政策決定会合で導入した消費者物価の
前年比上昇率で2%とする物価目標の早期実現を目指すとともに、
その達成に向けて強力な金融緩和を推進していくと表明。

日銀として「景気回復が見えてきた現在の状況を活かせるよう、
強力な金融緩和策や成長支援等の施策を通じて金融面から
後押しをする」とし、追加緩和は経済・物価情勢を点検しながら
必要性を判断すると語った。

その上で、資産買入基金と貸出支援基金を合わせ、今後1年余りに
「50兆円超という巨額の資金供給を新たに行う」ことから、
「今年はかつてなく極めて大規模な金融緩和が進行していく」と強調。

資産買入基金は、現在の68兆円程度から今年末に101兆円まで
積み上げる計画だが、「いろいろと工夫しながら」残高目標を
確実に達成していくと語った。

19日に公表された1月21、22日開催の金融政策決定会合
議事要旨では、基金による長期国債の購入について、複数の委員が、
現行3年以下となっている残存期間を5年程度まで延長する考えを示している。

森本委員は、3年以下としている由について「日本の資金調達構造を
みると、3年以下の貸し出しの割合が高く、それに概ね対応する期間の
金利に働きかけることが効果的だ」と説明。

国債の買い入れ年限長期化は追加緩和措置となるが、具体策については
「いろいろな選択肢を認識しながら効果とコストを考えてチェック
していきたい」と述べるにとどめた。

森本委員は内外の金融・経済情勢について、欧州債務問題に関連し、
「昨秋以降、ひと頃意識されたユーロ崩壊といったテール・リスクは
後退している」とし、海外経済は減速が続いているものの、
先行き緩やかな回復に転じていくと展望。

米国については、シェール革命がエネルギーや原材料価格の
下落によって「経済を浮揚させていく可能性がある」と語った。

これを踏まえた日本経済は、景気の弱めの動きに歯止めが
かかりつつあり、足元の円高是正の動きも「輸出や
企業収益などの下支えに寄与する」と指摘。

経済・物価の先行きリスクは「上下バランスしている」とし、
景気は「年央にかけて緩やかな回復経路に復していく」
との認識を示した。