ECBは難しい立場、ドイツだけ考えれば利上げ必要=メルケル首相

ドイツのメルケル首相は25日、欧州中央銀行
(ECB)について、ドイツの状況だけを考えれば
利上げが必要だが、ユーロ圏の景気格差のため、
難しい判断を迫られているとの認識を示した。

メルケル首相が中銀の
政策について見解を示すのは異例。

市場では、ECBが近く利下げに
踏み切るとの観測が高まっている。

首相は銀行関連の会合で「ECBは難しい状況にある。
ドイツのためには、今若干の利上げが必要だろう。
ただ、他の国にはさらに多くの流動性を供給するため、
さらに対策を講じる必要がある」と述べた。

その上で「適切とされる金利水準に戻るためには、
ユーロ圏域内にある格差を解消する必要がある」
と言明した。

ECB報道官はメルケル首相の
発言に関し、コメントを差し控えた。

ユーロ圏経済はリセッション(景気後退)局面にあり、
インフレはECBの目標を大きく下回って推移しており、
ECBにとっては一段の行動余地が存在する。

ただ、ドイツをはじめ、域内の主要国が堅調な成長を
遂げる半面、一部周辺国や中小規模企業(SME)は
資金調達に苦しむなど、域内での景気格差が
浮き彫りとなっている。

メルケル首相は、ポルトガルやイタリアなどの
企業の借入コストがドイツの2〜3倍となっていることは、
これらの国における新規投資への融資を阻み、改革に向けた
取り組みをとん挫させる恐れがあることを意味していると述べた。

そうした中、ECB当局者は、追加緩和による
ユーロ圏経済への効果は限定的との立場を
鮮明にしつつも、少なくとも利下げに支持を
表明するとみられる。

アスムセンECB専務理事はこの日、追加緩和は
危機の解決策とはならず、低金利が過度に長期間続けば、
いずれ歪みが生じるとけん制。

「金融政策は、あらゆる種類の経済病に効く
万能薬ではない」とし、「金融政策の伝達経路が
損なわれており、周辺国への利下げの波及効果は
限られるだろう。利下げの効果が最も必要と
されているのが周辺国だ」と述べた。

ECBは5月2日、
ブラチスラバで理事会を開催する。