欧州委、2013年ユーロ圏成長率見通しを引き下げ

欧州委員会は3日、春季経済見通しを発表し、
2013年のユーロ圏域内総生産(GDP)見通しが
2月時点の0.3%減から、0.4%減に下方修正された。
財政赤字の削減ペースは鈍化するという。

ユーロ圏の主要5カ国中、フランスとスペイン、
イタリア、オランダの4カ国で2013年は
マイナス成長になるとの予測が出ている

ドイツだけはプラス成長を維持できる見通し。

ただドイツ成長率見通しは0.4%と、
前回予想の0.5%から下方修正された。

欧州委員会のレーン副委員長(経済・通貨問題担当)は
「リセッションが長引く中、欧州で危機的状況になっている
失業率の問題を克服するためにあらゆる措置を講じるべき。
持続的な成長と雇用創出をEUのポリシーミックスは
焦点としている」とコメント。

また「財政の健全化は維持されているが、
ペースは鈍化している。平行して、
欧州に成長を取り戻すために構造改革
加速すべき」としている。

ユーロ圏の来年のGDP予想は1.2%増。
2月時点の予想は1.4%増だった。

欧州中央銀行(ECB)による3月時点の予想レンジは
2013年に0.9%減〜0.1%減、2014年は変わらず〜2.0%増。

欧州委による予想はECBの予想レンジの中間とほぼ一致する。

2月時点では0.1%増となっていたフランスの
GDP見通しは、0.1%減に下方修正された。

ギリシャの見通しが唯一、2月時点から引き上げられ、
GDPの縮小幅は従来の4.4%から4.2%に修正された。

ユーロ圏全体の今年の財政赤字
GDP比で2.9%、来年は2.8%になる見通し。
昨年は3.7%だった。

財政健全化のペース鈍化はイタリアで最も顕著で、
財政赤字GDP比は2012年の3%から
今年は2.9%へと低下する見通し。

2月時点は2.1%への低下が予想されていた。

ただ欧州委は、イタリアが向こう数週間以内に同比率を
3%以下に抑えるための信頼の置ける計画を提出すれば、
同国に対する過剰財政赤字手続きを終了させる公算が大きい。

フランスは政策に変更がない限り、今年の財政赤字
GDP比3.9%、2014年は4.2%となる見通し。

従来予想ではそれぞれ3.7%、3.9%となっていた。

フランスについてレーン副委員長は、財政赤字目標の
達成期限が2年延長される公算との考えを明らかにした。

副委員長は記者会見で「フランスでは景気回復が
遅れる見通しで、経済状況を勘案すると、
財政赤字目標の達成)期限を2年延長し、
遅くとも2015年までに過度の赤字を修正する
方向性が妥当といえるかもしれない」と語った。

その上で「フランスにとって潜在的な成長力を
引き出し、雇用を生み出すことが急務だ」と強調した。

フランス以外では、スペインが
同様の猶予期間を与えられることも確認。

オランダやスロベニアはそれぞれ
1年延長される可能性があるとした。

正式決定は、欧州委がマクロ経済に関する
勧告を行う今月29日に発表される見通し。