バーナンキ米FRB議長、技術革新の見通しに楽観的見解示す

米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は18日、
マサチューセッツ州のバード大学卒業式で講演し、
生活水準の向上をもたらす技術革新(イノベーション)の
見通しについて楽観的な見解を示した。

講演原稿の中で議長は金融政策や米経済の
当面の見通しなどには触れていない。

議長は講演で、子供時代の思い出も含めて
過去100年の歴史を振り返った。

また熱烈な野球ファンとして、メジャーリーグで活躍した
プロ野球選手のヨギ・ベラを引き合いに出し、「野球選手の
ヨギ・ベラが言ったように、未来はかつてあったような
未来ではない、というのは真実だ」と述べた。

コンピューターや他の情報技術の躍進がかつての産業革命
同じような成長や生活水準の劇的改善をもたらすことに
懐疑的な見方があることを紹介しながらも、「だれも実際には
分からない。ベラも鋭く見抜いていたように、特に
将来についての予測は難しい。しかしこの議論には、
反対を唱えるもっともな理由がある」と指摘した。

議長は22日には、上下両院合同経済委員会で
米経済見通しについて証言する予定になっている。

証言では、FRBの資産買い入れ縮小について議長の見解を
推し測る手掛かりとなるような発言がないか注視される
見込みだが、このところの米経済指標はまちまちで、
ロイター調査によると、エコノミストは引き続き
FRBが今年後半もしくは2014年初めまで
資産買い入れを継続すると予想している。

バーナンキ議長は講演でサウスカロライナ州で過ごした
子供時代に言及し、生活は過去50年間に
さほど変わっていないと説明。

「わが家には食器洗い機があり、洗濯機があり、
乾燥機があった。家族はエアコンとラジオを装備した
快適な車を所有していた。民間機の利用は、長蛇の
セキュリティーチェックの列がないことを除けば、
現在とほぼ同様だった」と述べた。

インターネットはなかったが、カラーテレビがあり、
「ただ認めざるを得ないのは、色がけばけばしく、
選択肢となるチャンネル数がはるかに少なかった
ことだ」という。

議長はいわゆるIT(情報技術)革命に改革を
もたらす力が不足していた点に触れた上で、
テクノロジーが変革の可能性を模索している中で、
上っ面をなでただけで終わっているいくつかの
分野があると指摘。

ITとバイオテクノロジーにはヘルスケアを改善する
多大な余地があり、クリーンエネルギーの開発にも
将来性があると話した。

議長は「貿易とグローバル化が新製品の潜在的市場規模を
拡大させている中で、革新的製品あるいはプロセスで
一番となることの経済的見返りも急速に拡大している。
手短に言えば、革新に対する人類の潜在的可能性と
インセンティブはともに、今が過去のどの時代よりも
大きい」と述べた。