格付け会社がユーロ周辺国格下げ警告、リスク選好短命との見方も

主要中銀の流動性供給や欧州中央銀行(ECB)の
ユーロ防衛へのコミットメントを背景に、ユーロ圏
周辺国の国債は足元で、利回りを追及する投資家の
買いに支えられているが、格付け会社は周辺国を
さらに格下げする可能性があると警告している。

そうなれば域内債務国の国債利回り
低下基調が反転するかもしれない。

ムーディーズのEMEA(欧州・中東・アフリカ)
格付け担当責任者、アリスター・ウィルソン氏は
ロイターに対し「現在の望ましい市場環境が
持続するとは見込んでいない」と語った。

「成長や債務、制度面など、問題の核心がいつまでも
未解決のままになっているほど、さらなる衝撃を招く
リスクも増大する」と指摘した。

ムーディーズとS&Pから投機的等級を1段階上回る
格付けを付与されているスペインが、最も大きな
リスクにさらされている。

一部の機関投資家は投資適格級、もしくは投資適格級国債
債券インデックス商品しか保有しないためだ。

ムーディーズは先月、スロベニアを格下げした。

スロベニア国債は主要債券インデックスには
採用されていないため売りは広がらなかったが、
主要国ならそうはいかなかったはずだ。

スペイン国債に連動する債券インデックスが
どの程度あるのかは不明だが、JPモルガンによると、
スペイン国債がすべての指数から外された場合、
中央政府国債発行残高の5〜6%に相当する
300億〜400億ユーロの国債が売られる可能性がある。

そうなればスペインの銀行や海外のヘッジファンド勢が
買い支えるとアナリストは見ているが、スペイン国債
対独連邦債利回り格差は拡大する公算が大きい。

ECBは、現在の景気支援策について、政府が構造改革
行うための時間的猶予を提供する意図があるとしている。

だがS&Pの欧州格付け部門責任者、モーリッツ・クレイマー氏は
ロイターに対し、ECBによる金融緩和支援により、かえって
政府の改革意欲がしぼむ「慢心リスク」があると指摘する。

今回の取材で、フィッチ・レーティングスによる
コメントは得られなかった。