ECB、物価に下方リスクあれば政策手段拡大も=専務理事

欧州中央銀行(ECB)のプラート専務理事は22日、
物価安定へのリスクに対応する必要があれば、
ECBとして金融政策の手段を拡大することが
可能との認識を示した。

また、ECBはユーロ圏経済が下方スパイラルに
陥らないよう確実に対処する必要があると指摘した。

専務理事はワシントンでの講演で「ECBには
物価安定という目標がある」と述べ、「この目標が
リスクにさらされた場合、目標達成のために必要と
判断すれば(金融政策)手段の範囲を拡大する
可能性がある」と言明した。

ユーロ圏のインフレ率は、4月に
3年ぶりの低水準となる1.2%に低下。

ECBは、2%をわずかに下回る
水準を目標としている。

ECBによる低金利政策にもかかわらず、周辺国における
銀行の貸し出しは比較的低水準にとどまっている。

専務理事によると、ECBの現在の戦略プロセスにおいて、
銀行の貸し出しを拡大することが「特に目立って」
推進されているという。

資産担保証券(ABS)市場の透明性を高めることも、
投資家にとって魅力を高めるためには必要だ
との認識を示した。

銀行がローンをABSとして組成し、他行に販売することが
可能となれば、銀行の貸出向け資本が拡大するとみられている。

また、専務理事は、ユーロ圏の銀行がデレバレッジ
乗り出しても、インフレ率がかなりの程度低下する
といったようには経済に影響を与えないことにECBは
注意を払う必要があるとの認識を示した。

専務理事は「バランスシートの調節が、物価安定の
ダウンサイドにプレッシャーを加えるマクロ環境に
つながらないことにわれわれは大きな注意を
払わなければならない」と述べた。