米FRB議長、緩和縮小には「一段の裏付けが必要」

バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は22日、
上下両院合同経済委員会で証言を行い、FRB
金融緩和政策は米経済の回復を下支えしているが、
緩和ペースを減速する前には景気の勢いを示す
一段の裏付けが必要と述べた。

議長は景気の勢いが維持されていることが分かれば、
「今後数回の会合で」債券購入ペースの減速を
決定することもあり得るとの見方を示した。

議長は「金融政策は著しい利点を提供している」とし、
自動車や住宅関連で消費支出が増加しているほか、
家計資産も拡大していると述べた。

その上で「金融政策は初期のデフレ圧力の相殺にも
役立っており、インフレ率がFRBの長期目標である
2%をさらに下回ることを防いでいる」と話した。

ただ、証言後の質疑応答で、議長は「状況改善の継続を
確認し、持続可能と確信できれば、今後数回の会合で
資産買い入れを縮小することは可能」と発言した。

議長発言を受け米国債は急速に値を削り、
指標10年債利回りは節目の2%を上回って
3月半ば以来の高水準となった。

議長は同時に、FRBが経済状況に応じて債券買い入れ
ペースを拡大もしくは縮小する用意があるとし、
5月1日発表の連邦公開市場委員会FOMC)声明で
示した見解を繰り返した。

「買い入れを縮小しても、自動的な資産購入プログラムの
完了を目指しているというわけではない。むしろわれわれは
経済動向を見極め、買い入れを拡大することも縮小することも
可能にしていく」としている。

バーナンキ議長は、FRBが注目するコアベースの
個人消費支出(PCE)価格指数について、3月の伸びが
前年同月比で約1%と、2%目標のわずか半分程度に
とどまったことに言及した。

低インフレの理由としてはエネルギー価格の下落などを挙げ、
さらに広い範囲でディスインフレの兆候が見られると指摘。

「他の消費財やサービスに対する物価インフレも
また抑制されている」と述べた。

第1・四半期の米国内総生産GDP)は
前期比年率で2.5%成長した。

失業率も4月は7.5%と、一頃の10%程度から
改善しているものの、バーナンキ議長は
「一段と長期的な正常水準からはかなり上だ」
と指摘した。

加えて、欧州危機など米経済が直面する一定の逆風も
最近は弱まっているものの、米国内での急激な緊縮財政が
成長の大きな足かせとなっており、FRBとしても
その埋め合わせを完全に行うことは不可能と述べた。

また、長期にわたる低金利がもたらす潜在的な諸問題を
FRBとして認識しているものの、同時に金融刺激策を
早計に撤回することにはリスクが伴うと指摘。

「金融政策の早計な引き締めは金利の一時的な上昇を
招く恐れがあるほか、景気回復の遅れや終息、さらには
インフレの一段の低下といった事態を引き起こす
多大な危険性をはらんでいる」と語った。

バーナンキ議長は最終的に金融政策を引き締める
段階に入っても、取得した住宅ローン担保証券
MBS)の一部を売却しない可能性があることを示唆。

「個人的には、どのMBSも売却せずに
政策を解除できると信じている」と述べた。