ユーロ圏は1年前に比べより安定している=ECB総裁

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は23日、
ユーロ圏が1年前に比べてより安定している
とした上で、経済状況は依然厳しく、各国が
改革と銀行同盟の計画を推進すべきだとの見解を示した。

「欧州の安定構築と持続的な繁栄」と題した
ロンドンでの講演の原稿で、危機への回答は
欧州の統合を後退させることではなく、
進めることだと指摘。

「欧州経済通貨同盟(EMU)が、1年前よりも
より安定した同盟となっていると問題なく言える」
とした。

約1年前にロンドンで、ドラギ総裁はユーロを守るために
「必要なあらゆる措置を講じる」と発言、この発言が
市場に安心感を与え、その後に国債購入計画を示したことが
危機対応に向けたECBの姿勢を裏付けるものとなった。

このECBの行動が、政府が財政を健全化するため、
また銀行が資本の状態を立て直すための時間を稼いだと指摘。

「われわれの措置が市場のパニックから息をつく間を
提供した」とし、「現在では金融状況が改善した一定の
兆しを感じることができる」とした。

ユーロ圏の貸し出し状況にわずかな改善の兆候があると
言及したが、「ユーロ圏の経済状況は依然厳しい」と付け加えた。

ECBが政策手段の範囲の拡大を検討しているとの
他のECB当局者のコメントに対する言及はなかった。

代わりに生産能力の維持と拡大のため、各国政府が
それぞれの構造改革を進める必要があると指摘した。

銀行同盟の計画を進めることも促し、単一の破綻処理
カニズムを創設することは不可欠だとした。

「そうなると確信しているが、もし効果的な銀行同盟の
創設に成功すれば、その利点はユーロ圏各国のためだけでなく、
全ての欧州連合EU)加盟国にとって大きい」と指摘した。

ドラギ総裁がユーロ圏外の政治に言及することはまれだが、
英国が他のEU加盟国との関係を強化するよう促し、「欧州には
より欧州的な英国が必要で、英国にはより英国的な欧州が必要」
と指摘した。