長期金利が跳ね上がるとはみていない=日銀総裁

黒田東彦日銀総裁は24日午後の衆議院財務金融委員会で、
長期金利の乱高下を抑制するために日銀による国債買入れ
オペの進捗によりプレミアム圧縮効果が強まるとして、
長期金利が跳ね上がるとはみてないとの認識を示した。

市場との対話を通じて、買入頻度やペース、買入対象の
調整をしながらボラティリティ拡大をおさめたい
との考えを重ねて示した。

黒田総裁は「長期金利は景気・物価への期待で決まる部分と
リスクプレミアム部分で決まってくるが、後者は日銀が
年間50兆円を買い入れるオペが進むにつれ圧縮が
強まるとみており、したがって長期金利が跳ね上がる
とはみていない」と答えた。

その上で「今回の政策決定会合でも新たな対話を
市場関係者に呼びかけており、買入頻度、ペース、
買い入れ対象の調整をして、政策効果の浸透を促す
といういいで弾力的なオペを行うことで、特に
ボラティリティの拡大をおさめたい」と述べた。

また消費増税の影響を含めた場合の物価上昇について、
総裁は日銀の展望リポートでの2014、2015年度物価上昇
見通しを引用し、「2015年度の物価は現在比で6%程度
上がる見通しだ」と述べた。

うち、消費増税による影響分は半分程度であり、残りは
アベノミクスによる影響との見方を肯定。

その効果について「消費者マインドが大分改善しており、
実際の消費も伸びている。一つの要素は株価の資産効果によるが、
マインドの変化で消費が伸びているというのは多くの
アンケート調査でも明らか」だとした。

一方で、それだけ物価が上昇した場合、企業でも
同じ程度のベースアップを実施すると思うかと聞かれると、
「消費増税分まで賃金が上がれば、賃金所得者が消費税を
負担しないことになるのでそういうわけにはいかないが、
消費増税の影響を除いた部分について経済循環の中で、
実質所得も伸びていくことは期待できる。ただタイムラグは
あると思う」と述べた。
古本伸一郎委員(民主)の質問に答えた。