国債市場安定が望ましい、オペ弾力運用で長期金利変動を回避=日銀総裁

黒田東彦日銀総裁は24日、都内で開かれている
国際交流会議「アジアの未来」で講演し、国債市場の
安定が望ましいとの認識を示すとともに、市場との
対話の強化やオペレーション(金融調節)の弾力的な
運用で、長期金利ボラティリティ(変動率)上昇を
回避していくと語った。

最近の国債市場は、株価や米国債市場の変動などを受けて
不安定な状況となっており、長期金利は23日に一時、
目先の節目とみられていた1%に上昇した。

黒田総裁は、日銀が導入した「量的・質的金融緩和」は、
日銀が掲げる2%の物価上昇率目標を2年程度で達成するために
「必要にして十分な緩和措置」と述べるとともに、緩和策の
波及経路の1つとして「直接的にイールドカーブやプレミアムに
働きかける効果がある」と語った。

国債市場については「安定的に推移することが
極めて望ましい」とし、年間50兆円程度の
国債残高を積み上げていく巨額のオペレーションの
「弾力的な運用によって長期金利ボラティリティ
(の上昇)をできるだけ回避したい」と指摘。

市場との対話の強化を通じたオペの弾力運用で
市場安定に努める考えをあらためて示した。

その上で黒田総裁は、金融緩和策の狙いは、さまざまな
チャネルを通じた生産・所得・支出という実体経済
好循環とその中での物価上昇の実現にあるとし、
「それは実現できるし、実現できる途上にある」と強調。

株式・為替相場に関しては「特定のターゲットはない」とし、
「日々の変動へのコメントは避ける」と述べるにとどめた。

中国経済の評価については「質を重視した安定成長に
ソフトランディングすることを期待している」と語った。