財政健全化の必要性、異次元緩和などでより差し迫った課題に=財政審報告

財政制度審議会(財務相の諮問機関)は27日、
異次元緩和や財政出動などアベノミクスの「一の矢」、
「二の矢」によって財政健全化の必要性はこれまで以上に
差し迫った課題となっているなどとする報告書を正式にまとめ、
麻生太郎財務相に提出した。

報告書では国と地方の基礎的財政収支の赤字を
2015年度までに国内総生産GDP)比で2010年度から半減、
2020年度に黒字化する政府の財政健全化目標の堅持を訴え、
「具体的な成果をあげなければ、財政ファイナンスとの
疑念から金利急騰を招き、金融緩和の効果を減殺させることに
なりかねない」と警告。

財政健全化目標達成には「2015年度までに消費税率を段階的に
10%に引き上げることが前提となっている」と明記し、
予定通りの消費税引き上げの重要性をにじませた。

報告書は、政府が6月半ばに決定する経済財政運営の指針
骨太の方針」や同方針をもとに策定する中期財政計画に
反映させたい考え。

終了後会見した吉川洋会長(東京大学教授)は、経済成長と
財政再建を対立的にとらえることは誤った見方だと強調。

財政再建は「持続的な成長の必要条件である」と述べ、
財政審報告書に沿って、政府は真正面から財政再建
取り組む必要があると提言した。政府・与党内に
くすぶる追加財政出動論には「さらなる補正を組むことは、
報告書のスピリットに沿っているとは思わない」と退けた。