EU財務相、銀行破綻処理の損失負担ルールで合意

欧州連合EU財務相は27日未明、7時間に及ぶ協議の末、
銀行の破綻処理費用の負担方法をめぐる新たなルールで合意した。

銀行が経営破綻した場合、株主、債券保有者、
10万ユーロ(13万2000ドル)を超える預金者に
対して損失負担を求めることが新たに規定される。

オランダのダイセルブルーム財務相は「われわれは初めて、
納税者を保護するための重要なベイルイン(破綻した銀行の
株主と債券保有者に最初に損失を負担させる方法)で合意した」
と述べた。

新ルールで、預金者は預金を失わないと
してきた欧州のタブーが破られる。

ただ、各国は破綻した銀行の債権者に損失負担を
求める時期と方法の決定において若干柔軟性が認められる。

ドイツのショイブレ財務相は会合後、「新ルールは世界の
他の投資家に対してと同様、ドイツの預金者にも影響する
可能性がある」と述べた。

ユーロの存続を脅かすほどユーロ圏全域に拡大した金融危機で、
欧州の納税者は不本意ながらも多額の銀行救済費用の負担を
強いられてきた。

EUは2008〜2011年のあいだ、域内総生産の3分の1に
相当する額を域内銀行の救済に充て、税金を投入してきたが、
危機の封じ込めには至っていない。

今回の合意で、3月のキプロス支援で使われた預金者に
損失負担を強要する手法がどこでも適用される可能性がある。

新たなルールは2018年までに実施され、各国には銀行の
負債の最大8%に相当する損失の分配が義務づけられる。

フランスのモスコビシ経済・財務相は、欧州安定メカニズム
(ESM)をユーロ圏の銀行救済に使えるようにすべきとする
同国の主張に欧州の財務相が合意したことを示唆した。

同相は記者団に「これにより
すべてが一貫性を持つ」と述べた。

欧州は今後、ユーロ圏の銀行の監視と支援を一元化する
「銀行同盟」という次の議論の柱に移ることができる。

ただ、厄介な問題が待ち受けている。

特に、経営難の銀行の閉鎖や再編の最終的な決定権を
各国が有するべきか、それとも欧州の一元化された
監督機関が有するべきか、という問題だ。

当局者によると、EUの行政執行機関である欧州委員会は、
この「執行役」を担う新たな機関について、
早ければ来週にも提案を行う見通し。

ブリュッセル拠点のシンクタンクブリューゲル
ニコラス・ベロン氏は、銀行再編の決定が
どのようになされるかという最も重要な協議は
まだ始まっておらず、欧州が団結していると
語るのは時期尚早、との考えを示した。