円安でも急激な輸出拡大には走らない、通商問題を意識=鉄連会長

日本鉄鋼連盟の友野宏会長(新日鉄住金社長)は28日の会見で、
為替が円安に振れても日本の鉄鋼メーカーが急激な輸出拡大に
走ることはないとの見方を示した。

過去の通商問題などを踏まえ、「円安になったから、
それ行けということは日本の鉄鋼各社は考えていない」
と述べた。

円安に伴い、日本の鉄鋼輸出が増加していることに対して、
一部の米鉄鋼メーカーなどから懸念の声が出始めている。

友野会長は、鉄鋼業は国の根幹を支える基礎産業素材で
各国に産業政策があるほか、発展途上国ではナショナリズム
高まっているとの認識を示した上で、「われわれは過去に
いくつもの学習をしてきている。過去の轍は踏まない
ということが、しっかり擦り込まれている」と述べた。

日本の全鉄鋼輸出(速報)は4月まで6カ月連続で
前年同月を上回ったが、5月は前年同月比8.3%減と
7カ月ぶりに減少した。

これについて同会長は、前年同月の数値が高かったことと
輸出拡大抑制の動きの両面があるとの見方を示した。

一方、足元の景況感については「超円高が緩和され、
日本の製造業が元気になってきている。(鋼材の)引き合いも
次第に増えてきている」とし、年後半にかけて需要の拡大を
期待したいと述べた。