米FRB、9月FOMCで緩和縮小検討する可能性=スタイン理事

米連邦準備理事会(FRB)のスタイン理事は28日、
量的緩和第3弾(QE3)の開始以降労働市場
改善したと指摘し、FRBが9月の連邦公開市場委員会
FOMC)で量的緩和の縮小を検討する可能性が
あるとの考えを示した。

また、FRBは資産買い入れ規模の縮小を検討するにあたり、
緩和策導入以降の全般的な景気回復を検証する必要があり、
直近の経済指標に過度に敏感になるべきでないとの見解を
示した。

スタイン理事は外交問題評議会での講演で、
連邦公開市場委員会FOMC)が正しい判断を下し、
不要な市場の乱高下を防止するために、長期的な
視点を持つ必要があると指摘。

FOMCにとり最適のアプローチは、例えば9月に
何らかの決定を行う場合、(資産買い入れ)プログラム
開始以降に蓄積した膨大なデータにまず重点を置くことだ。
FOMCに先立つ数週間以内に発表される新たなデータが
市場関係者の目を引くようなものであったとしても、
これらに過度に影響されてはならない」と述べた。

その上で、「9月初旬以降に発表されるデータが
9月のFOMCでの(政策の)調整の決定に
大きな影響を及ぼさないとしても、FOMC
将来的な決定に勘案される」と指摘。

「データが思わしくなく、さらにそれが10月、
及び11月の悪いデータで裏付けられた場合、
FRBが掲げる)失業率7%との数値基準が
達成されるにはまだ時間がかかることが
示されることになる。その場合、(資産買い入れ)
プログラムは状況に応じて延長される」と述べた。

次回のFOMCは7月30〜31日、
次々回は9月17〜18日に開かれる。

バーナンキFRB議長は前回6月18〜19日の
FOMC後の記者会見で、FRBが現在月額
850億ドルの規模で実施している資産買い入れについて、
経済の改善が続けば年内に買い入れ規模の縮小に着手し、
買い入れを2014年半ばごろに終了させることが適切と
なるとの見解を表明。

これを受け住宅ローン金利
長期金利が上昇するなど影響が出ている。

スタイン理事はバーナンキ議長の発言について、
FRB労働市場の大幅改善などを政策目標として
掲げているが、こうした目標に向けFRB
量的緩和第3弾(QE3)の計画について
より詳細な説明を行うことができると指摘。

バーナンキ議長が示した緩和縮小の行程について、
FOMCが何を注視しているのかを伝えようとする
意思の高まり」を示すものとの見方を示した。

労働市場の状況について、失業率は現在も7.6%と
高止まりしているものの、FRBがQE3を開始した
時点の8.1%からは低下していると指摘。

さらに、毎月の雇用増もQE3開始以来
大幅にペースが上がっていると述べた。

ただ、バーナンキ議長が示した緩和縮小のスケジュールは
経済情勢に依存するところが大きいと指摘。

同議長の発言は政策の変更を意味するものではなく、
市場関係者に対し明確な情報を伝えることを
意図したものだったと述べた。

スタイン理事は2月、FRBによる大規模な
資産買い入れにより、投資不適格級の債券などの
市場でバブル発生の兆候が出始めていると
警告していたが、この日の講演では、QE3の
効果はコストを上回っているとの見解を示した。

また、FRBが金融引き締めに転じるには、FRBが担う
最大雇用などの責務の達成が程遠過ぎるとの考えを示した。