ECBのフォワード・ガイダンス、期間は12カ月超=アスムセン理事

アスムセン欧州中央銀行(ECB)専務理事は9日、
ロイターのインタビューに応じ、ECBが先に導入した
金融政策の先行き見通しを示す指針である
フォワード・ガイダンス」について、期間は
12カ月を超えるとの見解を明らかにした。

またECBとしてユーロ圏の下支えに向けて
ほかの手段も用いる可能性があるとの考えを示した。

ECBは前週4日の理事会で主要政策金利を「長期間にわたり
現行水準もしくはそれを下回る水準」に維持する方針を決定した。

「長期間」の意味するところを問う質問に対しアスムセン理事は
「ドラギ総裁は記者会見で『6カ月でもなく、12カ月でもなく、
さらに長期間』と述べた」と答えた。

ECBはその後声明を発表し、理事の発言は金利
過去最低水準に維持する具体的な期間を示すことを
意図したものではないとの見解を明らかにした。

声明では「この期間について特定の指針はなく、
専務理事はそれを示すことを意図していない」とした。

アスムセン理事はインタビューで「前週の決定は
すべて全会一致だ」と指摘。

追加の長期資金供給オペ(LTRO)の可能性を
排除しないかとの質問には「排除しない。
必要な場合や時に応じて、われわれには
実施し得るあらゆる非伝統的措置がある」と答えた。

追加利下げの可能性に関する質問にも「何事も排除しない」
としたが、その一方で「足元われわれはちょうど適正な速度で
運転しており、ブレーキやアクセルを踏むつもりはない。
これは現時点で見られる統計に基づく考えだ」と述べた。

理事の発言を受け、ユーロ/ドル EUR= は下げ幅を拡大。

1.28ドルを割り込み、1.2786ドルと
今年4月上旬以来の安値をつけた。

ECBが受け持つ銀行監督の役割については、来年9月か
10月にも始まる見通しとした上で、「単一の清算制度は
必須条件ではないが、単一の監督制度の開始に合わせ、
整備されていることが望ましいことは明らか」であり、
そうでなければ制度として不完全にとどまると述べた。

欧州銀行同盟の2本目の柱となる単一清算制度をめぐっては、
欧州委員会が10日に青写真を提示する。

アスムセン理事は欧州委の提案について、銀行業界への
課税で賄う単一基金を設置し、「迅速に行動できる厳格な
単一清算機関」を構築する案が盛り込まれるとの見方を示し、
ECBの満足する内容になるだろうと述べた。

ただ、単一清算機関の設置をドイツが支持する公算は小さい。

9月の総選挙後に同国が立場を軟化させるとの見方もあるが、
アスムセン理事はこうした期待に否定的な見解を示し、
ドイツだけでなくオランダやフィンランドスロバキアなども
単一清算機関の設置に懐疑的な立場をとっていると指摘した。

銀行の資本不足については、ECBとして監督対象行の
審査手法を依然決定していないため発言するのは時期尚早とし、
一部銀行で資本が大幅に不足しているとの報道は「憶測」に
過ぎないと述べた。