アジアの銀行、金利上昇で資産の質が低下する見通し=ムーディーズ

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは16日、
アジア太平洋地域の銀行の信用の質は既に循環的なピークを打ち、
今後1〜2年にわたり多くの銀行は、金利の上昇を背景に資産の
質の低下に苦しむことになるだろうと警告した。

ムーディーズは今週、シンガポールの銀行システムの
見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げ、
急激なローンの増加と不動産価格の上昇からくる
リスクを理由に挙げた。

1カ月前には香港の銀行についても
見通しを引き下げている。

アジアの銀行システムについてムーディーズは、
長期間にわたり、低金利や高経済成長、力強い融資の
増加という有利な環境で事業を行ってきたと指摘。

同社のアジア・パシフィック金融機関グループの
マネジングディレクター、スティーブン・ロング氏は声明で、
「この間、借り手のレバレッジが拡大し、資産価格は著しく上昇した。

その結果、借り手も銀行も資産の質の劣化に影響を
受けやすくなったかもしれない」と述べた。

「先進国の緩和的金融政策の解除で、アジアの銀行の
資産の質が今後2〜3年で試されることになる」と指摘した。

中国の銀行に関して、ロング氏は会見で、景気の鈍化や
政府による国内消費に力点をおいた経済のリバランスへの
努力によって、資産の質だけでなく利益率や流動性管理に
おいても圧力に直面していると述べた。

ただ、基本的に銀行はハードランディングを避け、
新銀行自己資本比率規制「バーゼルⅢ」においても
問題はないと予想していると述べた。

ムーディーズ東南アジア諸国連合ASEAN)の
ほとんどの国の銀行システムについては引き続き
見通しが安定的だと述べた。

マレーシアの銀行については資産の質が緩やかに
低下しているとした一方で、フィリピンは信用の質が
依然上昇基調の初期段階にあり、地域のなかでも
例外となっていると指摘した。