ムーディーズが米格付け見通しを引き上げ、「安定的」に

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは18日、
米国のソブリン格付けを「トリプルA」に据え置き、見通しを
「ネガティブ」から「安定的」に引き上げたと発表した。

連邦政府の債務の軌道が、これまでにムーディーズ
示した基準から離れずに正しい方向に向かっていること挙げている。

ムーディーズは声明で、米国経済の拡大は緩やかではあるものの、
「トリプルAに格付けされている複数の国と比べると速いペースで、
政府支出の伸びが大幅に抑えられていることに対する耐性を
示している」としている。

ムーディーズで米ソブリン格付けを担当する
首席アナリスト、スティーブン・ヘス氏は
「現時点で債務の軌道に関して、米政府が
さらに講じる可能性のある一段の措置を
めぐる情報がなくても結論を下せるくらいの
十分な情報がある」と述べた。

例え米国の連邦債務上限の引き上げに関する一段の
交渉があっても、格付けに影響を及ぼす可能性は低いという。

ヘス氏は「これまでにしてきたように上限を引き上げると思う」
とした上で、「例えある程度遅れが生じたとしても、債務について
処理する政府の能力に及ぼす影響をさほど懸念はしていない」
としている。

格付け会社フィッチ・レーティングスは先月、
米国の格付けを「AAA」に据え置いたが、
見通しは「ネガティブ」で維持している。

一段の赤字削減措置が打ち出されない限り、
高水準の債務により衝撃を受けやすい状況が
続くと指摘した。

ムーディーズは併せて、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と
連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)のシニア債の格付けを、
「AAA」で据え置いた。

安定的の見通しは、米国の格付けが中期的に引き下げられる
可能性が低いことを意味するが、ムーディーズは今後の変更も
有り得ると付け加えた。

ムーディーズは声明で「財政健全化への一段の取り組みがなければ、
長期的に政府の財政赤字は再び増加することが見込まれる」と指摘。

ヘス氏は格付け見通しは今後2〜3年のことを示唆するもので、
「永久にトリプルAの格付けが保証されるものではない」と述べた。