先進国は信頼できる財政戦略を、世界需要のリバランス加速=G20声明

モスクワで開催されていた20カ国・地域(G20財務相
中央銀行総裁会議20日、先進国に信頼できる財政戦略を
要請することなどを盛り込んだ声明を採択して閉幕した。

先進国の財政戦略に関する部分については、声明草案では、
カッコ付きで日本と米国が名指しされていたが、
最終的な声明では外された。

世界需要のリバランスの進展についても、
草案段階の「継続」が「加速」に修正された。

声明の骨子は以下の通り。
1)G20財務相及び中央銀行総裁は、現在の世界経済情勢を点検し、
9月の首脳会議に向けた準備として必要な政策措置について討議。
2)成長強化と雇用創出が引き続き優先課題。
活発な雇用と力強い成長軌道に戻ることに完全にコミット。
3)世界経済は依然弱過ぎ、回復はいまだ脆弱で均等でない。
多くの国で失業率は高すぎる水準にある。
米国と日本では経済活動活発化の兆しがでている。
ユーロ圏のリセッションは続いている。
新興国の多くで成長と安定化の兆しがみられるもののペースは緩慢。
われわれの政策対応は下方リスクを抑えるのに寄与しているが、
地域の成長見通しの格差が拡大しており下方リスクは
高止まりしている。金融市場のボラティリティが高まり、
金融の状況はひっ迫している。
4)世界経済をより強く、より持続可能でより均衡のとれた
成長軌道にのせるために政策行動を強化し、包括的な
サンクトペテルブルク行動計画を策定する。
われわれの目先的な優先事項は
雇用・成長の強化であることで合意した。
5)より強く持続可能な回復を達成すると同時に
先進国の財政的持続可能性の確保も極めて重要である。
合意通り、サンクトペテルブルク首脳会議向けの
信頼できる野心的な国ごとの中期財政戦略の策定に進展がみられる。
これらの戦略は短期的な経済状況を考慮し、十分柔軟なものになる。
6)構造改革を通じた国内のリバランスを含め、世界需要の
リバランスに向けた進展を加速する決意。
そのために、黒字国が国内の成長源を強化し、赤字国は
貯蓄を増やし競争力を強化することが求められる。
一段と市場原理が働く為替相場システム、ファンダメンタルズ
(経済の基礎的条件)を反映する為替レートの弾力性の
実現に向けた動きを速めること、根強い為替レートの
アンバランスを回避することに改めてコミット。
競争的な通貨切り下げを控え、競争目的で
為替相場をターゲットとしない。
あらゆる形の保護主義に反対し、市場を開放された状態で維持する。
7)金融政策は、各国中銀の責務にのっとり国内物価安定を
目的とし、景気回復を支援し続けるべき。
長期にわたる金融緩和のリスクや意図しない副作用に留意。
金融政策を将来変更する場合は引き続き、
明快な意思疎通をもって慎重に調整する。
金融フローの過度な変動や為替レートの無秩序な動きが
経済・金融の安定に悪影響を与えてきたと再度表明。
健全なマクロ経済政策と強固で賢明な枠組みが、
ボラティリティが起こった場合の対応に寄与する。
われわれは引き続き金融市場の状況を注意深く監視していく。