独財務相「ギリシャには追加支援必要」、選挙戦前に沈黙破る

ショイブレ独財務相20日ギリシャに対し
第3次支援を実施することが必要になる
との見解を示した。

同相が追加支援の必要性を認めるのは初めて。

これまでに決まった対ギリシャ支援は
合わせて約2400億ユーロ(3200億ドル)。

アナリストはこれより小規模になるとは言え、
ギリシャが追加支援を必要とするようになると
予測してきた。

一方、ドイツは連邦議会(下院)選挙を控えており、
メルケル独首相は、ドイツの負担となることを懸念する
国内有権者の反発を買うことを回避するため、ギリシャ
関する話題には口を閉ざしてきた。

ショイブレ財務相発言の直前にも、メルケル首相が
第2次の支援が切れる来年末を前に、ギリシャ
対する追加支援について協議することには意味が
ないと発言したことが地方紙によって伝えられていた。

ショイブレ財務相はドイツ北部での選挙関連イベントで
ギリシャには追加プログラムが必要になる」と述べ、
選挙戦ではタブー視されていたものを打ち破った。

アテネでは、ギリシャ財務省当局者が匿名を条件に
ロイターに対し、追加支援では2014〜2016年にかけて
予想される資金不足を補うことに焦点が置かれ、
支援額はこれまでよりかなり小規模になると明らかにした。

この当局者は「ギリシャが今後数年間に直面し得る
資金不足を埋める複数の方法を同国と支援機関が
検討している」と述べ、銀行救済プログラム向け
資金の残りを活用する案や以前に協議された
債務支援措置などが検討されているとした。

南ドイツ新聞が、21日掲載予定の記事の抜粋の中で
関係筋の話として伝えたところによると、少なくとも
支援の一部は欧州連合EU)予算を通じて資金が拠出される。

南ドイツ新聞によると、EUの構造基金から
ギリシャが追加資金を得られるよう協議が進行中。

また同紙は、ドイツの政府筋の話として、第3次支援が
2次までの支援よりもかなり小規模で、ギリシャでは
既に必要な改革の多くが進んでいるため、支援の条件も
比較的厳しくないものになるとも伝えている。

国際通貨基金IMF)は7月、2014〜2015年のギリシャ
資金不足分は109億ユーロに上るとの見積もりを示している。

ギリシャのストゥルナラス財務相はこれまでに、同国として
早ければ来年にも「小額」の国債を発行して不足分の穴埋めに
活用したい考えを表明しているが、市場では、来年の
債券市場への復帰について懐疑的な見方が根強い。

ショイブレ財務相はこれまで、現行の支援プログラムが
終了する2014年末以降、新たな支援を検討する必要が
生じる可能性があるとする一方、追加支援が不可避との
見解を示したことはなかった。

一方、選挙戦を通じてメルケル首相がギリシャに関する
真相を国内の有権者に伝えていないと批判してきた
野党側は勢いづいている。

野党・社会民主党SPD)の対抗馬であるシュタインブルック
財務相財務相発言を受け、「欧州を救い、
統合を維持することは、私たちドイツの国民にとっても
犠牲を伴うものだと主張してきた」と述べた。

緑の党のユルゲン・トリッティン党首は、首相が
「ごまかしてきたこと」を財務相が白日の下に
さらしたとしている。

ドイツの週刊誌シュピーゲルは今月、ギリシャ向けの
現行支援策は極めて高いリスクを伴っており、
欧州諸国が同国への追加支援で合意することは
確実と指摘する独連銀の報告書について報じたが、
ドイツ政府はこの報道を否定していた。

メルケル首相は20日のルール・ナハリヒテン紙に
掲載されたインタビューでギリシャをめぐる憶測の
払しょくに努め、「ギリシャに対する新たなヘアカットは
見込んでいない。われわれは一歩ずつ前進している。
ギリシャに多くの変革が必要であることは間違いないが、
前進も明確であり、われわれはそれを認識している」と言明。

「ユーロ圏は常に、2014年末か2015年初めに
ギリシャ情勢を再評価する意向を示してきた」とし、
この予定通りに進むことが理に適っているとの見方を示した。