英企業、最高所得税率引き下げまで賞与支払い先延ばし

英政府が今年4月から所得税最高税率を50%から
45%に引き下げたことについて、20日の統計で企業が
減税開始まで賞与支払いを先延ばしにしていた実態が判明し、
野党や民間団体から政府への批判が噴出している。

英国では例年、12月から翌年の
3月までが「賞与シーズン」に当たる。

しかし英国立統計局(ONS)が公表した統計によると、
今年は多くの企業が最高税率の引き下げが始まった
4月以降に賞与支払いを行っており、繰り延べ総額は
17億ポンド(26億6000万ドル)に上った。

今年4月に支払われた賞与金額は29億ポンドで、
前年同月の19億ポンドから急増。

賞与支払い総額の3分の1以上を占める金融・保険業界が
4月に支払った13億ポンドは、前年同月に比べると
2倍を超えている。

また金融・保険業界では約30%の企業が
4月まで賞与支払いを先延ばしにしたという。

野党の労働党で「影の財務相」を務めるクリス・レスリー氏は、
政府が一般国民よりも最富裕層を優先的に考えている証拠だと指摘。

「中低所得の普通の家庭は生活水準が低下しているのに、
最高額所得者がキャメロン政権の減税の恩恵を享受している」
と述べた上、結果として数百億ポンドの歳入が失われた
との見方を示した。

金融取引税を導入して福祉増進や貧困対策の資金に
充てることを提唱している団体「ロビンフッド
タックス・キャンペーン」も声明で、「政府による
超富裕層に利する税制変更のせいで悪い状況が
さらに悪化した。『われわれは一体だ』という言葉に
実質的な意味を持たせ、金融界が税金を支払う道を
確保するべきだ」と主張している。

これに対して英財務省の報道官は、こうした賞与額の
数字はオズボーン財務相の予算案で示された見通しに
沿っており、銀行の賞与は金融危機前のピークを
大きく下回っていると説明した。