消費増税、考え直さなければならない情報はない=麻生財務相

麻生太郎財務相は21日、閣議後の会見で、消費税増税について、
考え直さなければならない情報はないと述べ、来年4月に予定通り
3%引き上げるべきとの従来の考えを繰り返した。

消費税引き上げのタイミングとして景気回復途上が望ましい
との認識も示し、先送り論をけん制した。

消費税増税をめぐっては、景気に配慮して先送りを
求める声がある一方、財政再建のため予定通りに
実施すべきとの意見も根強い。

麻生財務相は「来年3%(の引き上げ)を、ゼロにしたり
先延ばしする納得できる理由を知りたい。(先送り論に対して)
首をタテに振る理由がない」と指摘。

「(予定通りの実施を)考え直さなければならない
情報はない」と語った。

足元の景気情勢は、実質GDP国内総生産)が3四半期連続で
プラス成長となるなど、「総じて上向いている」と指摘。

消費税引き上げのタイミングに関連して、「景気が一番ピークの
時に上げるのは間違いだ。上り坂の途中でやるべき」と述べた。

景気回復のピーク時では消費税上げに伴う反動減を
緩和できないため、消費税引き上げに伴う景気下押し
圧力を吸収するには、回復途上での引き上げが
好ましいとの認識を示した。

景気の「山」は2012年4月、拡大は37カ月継続=内閣府
内閣府は、リーマン・ショックからの回復期に当たる
2009年3月からの景気拡大局面が12年4月まで
37カ月間継続したと暫定的に判定した。

今回、東日本大震災による落ち込みは
景気後退局面とは認定しなかった。

2012年5月以降は海外経済の減速に伴う輸出減退などで
景気が悪化したが、議論の場である景気動向指数研究会では、
昨年11月には谷をつけて再び現在に至る拡大局面に
向かっているとの意見も出され、直近の景気後退期は
ごく短期間で終了した可能性が高い。

景気の山や谷は内閣府経済社会総合研究所長の諮問研究会である
景気動向指数研究会において、民間の専門家が議論を積んで判定する。

今回認定された2012年4月を山とする景気拡張期の特徴は、
リーマン・ショック後の回復局面を含んだことから
拡張テンポも急速だった。

また拡張期間は過去平均の
36.2カ月を上回り、過去6番目となった。

2011年3月の東日本大震災後は、サプライチェーン
寸断などで生産などが急速に落ち込んだが、その後再び回復。

復興需要や政策効果の発現で景気回復基調が続いたと判断され、
景気の谷とは認定されなかった。

山と認定された2012年4月以降の景気について
同研究会座長の吉川洋東京大学大学院教授は、
欧州危機など海外経済の減速により輸出の減少や
設備投資の落ち込みなどが足を引っ張ったと述べ、
景気は後退局面入りしたとの見方を示した。

その後、2012年秋以降は、為替の円安方向での推移や
株高の進行により、実体経済は上向きに転じていると
研究会では判断しており、景気後退局面はごく短期で
終了した可能性がある。

吉川座長によれば、同研究会でも、1人の委員から
2012年11月が景気の谷に当たるとの見方が示されたという。

その後、現在まで景気拡大局面にあるものの、別の委員からは、
株価上昇や増税前の駆け込み需要などを中心に消費先行の
異例のパターンとなっているとの指摘もあった。

今回、同研究会では、2009年4月からの第15循環の
景気の山を暫定的に認定したが、今後の経済指標の
季節調整替えの影響などを踏まえ、確定する際には、
山とその後の谷を同時に決定することになる。