米FOMC議事録、QE3縮小時期の手掛かりほとんど示さず

米連邦準備理事会(FRB)が21日に公表した7月30〜31日の
連邦公開市場委員会FOMC)議事録によると、数人の
メンバーが債券買い入れの規模を「幾分」縮小する時期が
近いとの認識を示した一方で、その他のメンバーは慎重な
立場を示していたことが分かった。

また、投票権を持つ12人の委員のほぼ全員が、刺激策の
変更はまだ適切ではないとの見方を示していたことも
明らかになった。

今回のFOMC議事録は、FRBが現在月額850億ドルの
ペースで実施している債券買い入れの規模縮小に着手する
時期を探るために注目を集めていたが、手掛かりは
ほとんど示されなかった。

ただ次回9月のFOMCFRBが緩和規模縮小に動くとの
観測の後退につながる材料も示されなかった。

議事録は、「数人のメンバーが、資産買い入れペースの変更を
決定する前に慎重に経済に関する追加的な情報を評価することの
重要性を強調した。

同時に、その他の数人のメンバーは、前月にFOMC
代表して公表された計画を引き合いに出し、同計画で
示された買い入れ規模を幾分縮小させる時期はまもなく
到来する可能性があるとの認識を示した」としている。

バーナンキFRB議長は6月のFOMC後の記者会見で、
年内に買い入れ規模縮小に着手し、2014年半ばには
買い入れを停止することが適切との見解を表明。

これを受け米国債の大規模な売りが
触発されるなどの影響が出た。

最近では、FRBによる緩和縮小観測の高まりにより
新興市場から資金が流出、インドルピーや
インドネシアルピアなどが大幅に下落する
事態となっている。

今回公表されたFOMC議事録は、市場の反応を
極力抑える一方で、政策担当者が必要な時に
措置を導入するための余地が残されたようにも見える。

7月に7.4%となった失業率については、前年9月の
債券買い入れ開始以来「著しく」低下したとの見方が示された。

ただ、多くの人が職探しを諦めるなど、労働市場の改善には
「一段と控えめな」兆候が出ているとの認識が示された。

FRBは、インフレ率が制御可能な水準にある限り、
失業率が6.5%に低下するまで超低金利政策を維持する
方針を示しているが、今回の議事録で、一部メンバーが
一段と緩和的な政策スタンスが必要と判断された場合、
この数値基準を低下させることを望んでいることも
明らかになった。

ただ、そうすることで数値基準は変更が可能との
見方が広まり、これにより数値基準を示すことで
得られる効果が低減する可能性があるとの懸念も示された。

FRBは7月のFOMCで、米経済は依然として
支援が必要との判断から政策を据え置いている。

インフレ率が今年に入ってから低水準で推移していることも、
FRBによる超低金利政策の維持を後押しする可能性がある。

議事録によると、インフレ率がFRBが目標とする2%を
「継続的に下回っている」ことは「経済情勢に対する
リスクになる可能性がある」との認識が示された。

ただ同時に、物価上昇が加速するとの予想も確認された。

FRBによる緩和縮小観測が高まっていることを受け、
米10年債利回りは5月以来1%ポイントを超えて上昇し、
2011年以来の高水準を付けるなど、金融市場は
大きく動いている。
こうしたなか住宅ローン金利も上昇。

議事録では数人のメンバーが、ローン金利の上昇により
消費支出と全般的な成長が阻害されるとの懸念を
表明したことも判明。

ただ、一部メンバーは「金利上昇にもかかわらず、
住宅市場の回復は底堅いとの確信を表明した」ともした。

7月の議事録ではまた、FRBが現在の超緩和的な金融政策の
巻き戻しに踏み切る際に金融システムから資金を吸収し、
短期金利を目標水準に維持するための新たな政策手段を
検討していることも判明。

議事録によると、固定金利方式の翌日物リバースレポを
導入する可能性が検討された。