インドとインドネシア、信認低下なら格下げの可能性=フィッチ

格付け会社フィッチ・レーティングスは22日、
インドとインドネシアは現時点で差し迫った
格下げリスクには直面していないものの、
両国政府の取り組みで現在の金融市場の緊張が
改善しない場合、格付けを引き下げる可能性が
あるとの見解を示した。

現在の両国の格付けはいずれも
「BBBマイナス」で、見通しは「安定的」。

ただ、米量的緩和縮小に伴い急激な資本流出
さらされるとの懸念から、このところ新興国資産の
売りは加速し、両国への圧力が高まっている。

フィッチは、両国の外貨準備が減少傾向にありながらも
依然潤沢で、両政府とも経済不均衡の是正に努めていることを
踏まえると、現在の市場の混乱は「現時点で格付け変更には
つながらない」と指摘した。

一方で「民間部門の急速な信用の伸び、財政赤字の拡大、
インフレの高止まりが、一段と広範かつ持続的な信認の
失墜を招く恐れがある」とし、「これがいずれ経済・
金融の安定を阻害し、格下げにつながる可能性がある」
との認識を示した。

フィッチのアジアソブリン担当シニアディレクター、
アンドリュー・コルクホーン氏は両国の国際収支について、
現在の水準から判断すれば、危機が差し迫っているとの
懸念は見当違いだとしながら、当局は市場の懸念に
確実に対応する必要があると強調した。

「資産価格や通貨への圧力が両国経済の安定を
脅かす段階まで強まり、継続するかどうかが問題だ」とし、
「外貨準備が危険な水準に減少した場合、信用に直接打撃が
及ぶことが予想されるが、現時点でそうした状況には
至っておらず、政策運営が十分強固であればそうした
事態には陥らない公算が大きい」との見方を示した。

その上で、公的債務や対外不均衡、経常赤字のさらなる
拡大を招くことなく持続的な成長軌道を維持できる形で
政策運営が行われるかどうかに投資家の注目は集まるとし、
持続不可能な方向に向かう兆候が表れた場合、市場は
ネガティブに反応するだろうと述べた。

S&Pはインドの格付けを「BBBマイナス」、
見通しは「ネガティブ」、インドネシアについては
格付け「BBプラス」、見通し「安定的」としている。

ムーディーズ・インベスターズ・サービス
両国とも「Baa3」に格付けしている。