英中銀、利上げ観測で金融ひっ迫なら追加策検討も=総裁

イングランド銀行(英中銀)のカーニー総裁は28日、
金融状況がひっ迫し回復が力強さに欠ける恐れがあれば、
追加刺激策を検討する考えを示した。

利上げ見通しをめぐる市場の先走りにより、景気回復の
腰を折りかねない状況になれば、追加支援策を実施する
可能性があるとしている。

英景気については、回復の裾野は広がっており
底堅いが目を見張るほどではない」との認識を示し、
現在7.8%の失業率は、利上げ開始時期の目安としている
7%の水準には緩やかにしか低下しないと強調した。

総裁は就任後初となる講演で「市場の金利上昇観測の高まりが、
実体経済が直面する金融状況に及んでおり、金融政策委員会は
金融状況を注視している」と述べた。

その上で「金融状況がひっ迫し、景気回復が必要な力強さに
欠けるようであれば、中銀は追加景気刺激策に関する実施の是非、
及び最善の方法について慎重に検討する」とした。

英中銀は失業率が7%の水準に低下する時期を2016年終盤と
見込んでいるが、金融市場はこれよりかなり早い2015年半ばの
利上げ開始を織り込んでいる。

総裁はまた、今月発表した金利政策見通しの方針を説明する
フォワドガインダスに追加刺激策の選択肢が盛り込まれているとし、
追加の資産購入の可能性に言及した。

この日の講演では、中銀がなぜ失業率の緩慢な低下しか
見込んでいないかという点に重点的が置かれた。

公的部門でさらなる人員削減が予想されるほか、
フルタイムを希望するパートタイム就業者の数が
多いことをその理由に挙げた。

市場が想定している2015年半ばまでに失業率が7%に
低下する可能性について、中銀は3分の1の確率でしか
見込んでいないとした。

またインフレ抑制に引き続き注力しているとしたが、
景気のぜい弱さや一時的な物価押し上げ要因を踏まえると、
中銀の裁量で2%の目標達成を急がないことが適切
との考えを示した。

景気回復のリスクについては、一部の金融機関による
財務改善の遅れ、資金流出に苦慮する新興国の問題、
欧州債務危機の改善状況が一様でないことなどを挙げた。