NY連銀総裁が緩和継続の必要性強調、「年内縮小なお可能」

米ニューヨーク連銀のダドリー総裁は23日、
連邦準備理事会(FRB)は当面、米経済に対する
逆風に引き続き強く対抗していく必要がある
との見方を示した。

ただ、年内に量的緩和QE)縮小に
踏み切ることは依然として可能だとした。

ダドリー総裁は講演で、債務上限引き上げに関する協議など、
財政をめぐる問題が差し迫った最大の不透明要素だと指摘し、
資産買い入れの縮小を見送った前週の連邦公開市場委員会
FOMC)の決定を擁護した。

アトランタ地区連銀のロックハート総裁も別の講演で、
労働生産性の低下や雇用創出に議会が取り組まなければ、
米経済は勢いを失う恐れがあると警鐘を鳴らした。

一方、ダラス地区連銀のフィッシャー総裁は、前週の
FOMC国債買い入れ規模の月100億ドル縮小を
求めたことを明らかにし、縮小を見送ったことで
FRBの信認に傷がついたと指摘した。

FRBは前週、月額850億ドルの資産買い入れ
規模を予想外に維持することを決定。

市場では、雇用や経済成長の改善にもかかわらずFRB
緩和縮小に二の足を踏み、投資家を混乱させたとの批判が出た。

しかしダドリー総裁は、最近の長期金利急上昇や年初の
増税・歳出削減に加え、連邦予算や債務上限引き上げを
めぐる不透明感の高まりが経済の足かせになっていると強調。

「目標達成に向け、FRBはこれら向かい風に
強く抵抗していく必要がある」と語った。

エコノミストの間では、バーナンキFRB議長が
年内に資産買い入れの規模縮小に着手し、
2014年半ばまでに買い入れを終了するとした
6月時点の見通しを修正したのではとの見方も
出ているが、ダドリー総裁は、この枠組みは
今も変わっていないと言明。

バーナンキ議長は同枠組みを示した時点で、緩和縮小に
着手する時期として9月のFOMCを特定したわけではない
と強調した。

また、資産買い入れプログラムの変更は最新の経済動向を
見極めた上で決定する必要があるとし、労働市場の改善を
裏付ける証拠とこうした改善が続くとの信頼感という
2つの条件がなお満たされていないと指摘。

労働市場での改善継続に一段と自信を持てる
経済ニュースを確認したい」とし、「そうなれば
資産買い入れペースを縮小する時が来たと抵抗なく
考えることができるようになる」と述べた。

少なくとも、ダドリー総裁は米議会での財政をめぐる攻防が
一段落つくまで縮小を見送る構えを見せている模様だ。

ダドリー総裁の発言を受けた各市場の反応はまちまちで、
米国株式相場は総裁が年内の緩和縮小はなお可能と
示唆したことを嫌気して下落。

一方、米国債価格は、経済への逆風に対抗していく
必要があるとの発言を材料視して上昇した。

米失業率についてダドリー総裁は、これまでに7.3%まで
低下しているものの、失業率の改善は「はるかに
小幅な回復にとどまっている」採用や求人数、
離職率などの低迷を覆い隠していると指摘した。

その上で、資産買い入れプログラムの変更は、
経済・金融動向、及び長期見通しへの影響や
リスクなどを見極めた上で決定する必要が
あると述べた。

アトランタ地区連銀のロックハート総裁も
労働市場について、依然として
回復していないとの認識を示した。

「これまでに多くの進展が見られたが、FRB
責務の1つとして掲げる最大雇用を達成したと
言えるまで道のりは長い」と述べた。

前週のFOMCの決定に具体的には言及しなかったものの、
金融政策は「低く安定したインフレの下で」適切な金利
実現することで米経済の活性化に向けた役割を担うことが
できると表明。

ただ、中銀にできることは限られているとの認識も示し、
他の当局も経済状況改善に向け措置を導入する必要が
あるとの考えを示した。

また、米経済の勢いが鈍化していることを
示す証拠があるとの見方を示した。

米経済をめぐっては、QE第3弾の導入後
広い範囲で改善しているとの意見もある。

ダラス地区連銀のフィッシャー総裁は、前週のFOMC
他のメンバーに対し「今回の会合で何も措置を打ち出さなければ、
将来的な政策運営への不透明感が増し、FRB
コミュニケーションに対する信認が疑問視される
との考えを伝えた」と明らかにした。

その上で「これが現実となってしまった
ことは否めない」と述べた。

また、賛成11、反対1という投票結果は、決定が
「際どく厳しい」ものだったことを適切に
反映していないと指摘した。

フィッシャー総裁は、国債買い入れについては
雇用創出を後押ししていないことから買い入れ規模の
縮小を支持する一方、住宅ローン担保証券MBS)の
買い入れに関しては、住宅市場の回復に一部「弱さ」が
みられることから現行規模を維持することを支持すると語った。

フィッシャー総裁はさらに、バーナンキ議長の後任選びについて、
ホワイトハウスは「対応を多いに誤った」との考えを示した。