短観改善、消費税率引き上げは織り込み

今週の為替相場は、日銀短観の改善と、
これを受けた来年4月からの消費税率の
引き上げを睨んだ展開が予想されます。

日銀短観は、オリンピック効果もあって、
企業の業況感は好調なものとなっていることが
予想されます。

また、短観の改善を受けた、来年4月からの
消費税率の引き上げは規定路線です。

景況感が二重、三重の好材料を受けて、
いままで経験したことのないような展開で、
好転したことで、先行きの安心感を伴って
盛り上がっています。

千載一遇のこの機会を見逃す手はないわけで、
粛々と消費税率の引き上げを行うと見ています。

アベノミクスの好循環が庶民に届いていないという
批判に対して、安倍内閣は経済界に再度、
賃上げのお願いを行っています。

経済界は、この賃上げ要請に対して
前向きに対応することを示唆しています。

大企業製造業・大企業非製造業は、
賃上げに前向きの姿勢と伝えられています。

問題は、中小・零細企業です。

日本の労働人口の多くを抱える、
中小・零細企業が首を縦に振れるか否かです。

大企業製造業・非製造業は、賃上げに前向きの
姿勢を見せていますが、賃上げのコスト上昇分は
下請けに負わせることは目に見えています。

下請けとなる中小・零細企業に
コストアップの分は付け回すわけです。

結局、賃上げは大企業製造業・
大企業非製造業にしか届かないわけです。

その時に、消費税率の引き上げを行うことは
大きな問題ですが、自民党政権、三世首相の
安倍さんには、その辺のからくりは
わからないと思います。

ただ、日本は今、オリンピック・パラリンピックの開催で、
精神的に高揚していますので、多少のマイナス要因は
吸収されてしまうと思います。

一方、米国では、財政の崖の問題が強く意識されています。

10月には米政府の使えるお金が
なくなってしまうというわけです。

何回となく、財政の崖の問題は大きな問題と
なっているのですが、オバマ政権も、議会も
学習能力がないために、ギリギリの交渉を
強いられています。

結果、ギリギリで国債発行の上限を
引き上げてきたわけです。

今回も、政府と議会の駆け引きがギリギリまで続き、
肝を冷やす場面が出てくることが予想されます。

でも、デフォルトするわけには行かないので、
債務上限の引き上げが合意されるわけです。

恒例の茶番劇を世界中の人が見せつけられるわけです。

しかし、債務上限の引き上げが出来ても、米国が
背負っている借金が減るわけでも、
棒引きされるわけではありません。

米国は着実に、脳死の状態に陥るわけです。

米国が抱える財政赤字の大きさが金融市場で、
大きな材料になり、米国発の金融危機
再燃する可能性があるのです。

そういう危機は、いつも米国にはあるのです。

改めて、米国の脆弱さを考える
良い機会かも知れません。

他方、欧州では金融緩和路線から
脱出出来ない状況が続いています。

米国のように、金融緩和縮小を
打ち出す準備も出来ません。

ギリシャを始めとする金融危機の連鎖が怖くて、
金融緩和をし続けなくてはいけない状況が
続いているのです。

三極の通貨を比べると、相対評価で、円が優位に
あることは間違いないと考えています。

予想レンジは、
ドル円が95.20〜101.20円、
ユーロ円が127.20〜134.20円、
英ポンド円が154.20〜160.20円、
ドル円が86.20〜93.20円。