決め手に欠く展開に

今週の為替相場は、決め手が
今一つ見当たらず、一進一退の
展開が予想されます。

米国の債務上限合意を受けて、ドルが
もっと買い戻されるかと思いましたが、
意外にその動きは鈍く、逆にじりじりと
ドル売りが勝る展開となりました。

今回の合意は、来年になると再び、
債務上限が材料視されることになり、
根本的な解決には程遠いことで、思い切った
ドル買いが出来ないのではないかと思っています。

本来なら、もっとドルは買われて、
再び100円台を回復、その先には105円、
108円、110円という水準が意識されるものと
見込んでいましたが、これは見事に大外れでした。

それだけ、米債務上限引き上げ合意が薄氷の
合意であることを市場は読んでいるということでは
ないでしょうか。

米国の財政赤字問題は、
それだけ根が深いということです。

米国が、本気になって財政赤字貿易赤字
双子の赤字の解消に取り組まなかったことは、
プラザ合意を見ても明らかです。

ドルの切り下げ、円やマルクの切り上げで、
米国の危機を逃れたという印象です。

今回も、債務上限の引き上げという、
小賢しい手を使って、借金を増やすことしか
考えていません。

これも、米国が本気になって、財政赤字削減に
取り組んだら、世界経済に大きな悪影響を及ぼすことで、
現実的には出来ないことですが、それでも、国民に
痛みを伴わないように、財政赤字の垂れ流しを
いつまで行うのか、疑問です。

米国はドルを刷れば良いのですが、ドルが
飽和状態になる中で、それでも世界はドルを
基軸通貨として敬っているので、ドル暴落は
起こらないという構図なのです。

いつまで、米ドルの信認が続くのでしょうか。

もちろん、ドルを信認することが、世界経済の
平和に寄与すると考える向きが多いだけに、
ドル暴落の芽は無いのではないかと思ってしまいます。

しかし、本質的な問題、米国が財政赤字削減に
真摯に取り組まない限り、世界経済の危機の恐れは
無くならないということです。

世界は、ドルの暴落を恐れているので、
米国のわがままを容認している、
そんな感じもしています。

債務上限の引き上げ合意が出来た以上、
ドルが大きく売られることは考えにくいのですが、
ドルを買うことも難しい中で、決め手がない、
相場展開になると思っています。

予想レンジは、
ドル円が95.20〜100.20円、
ユーロ円が128.20〜136.20円、
英ポンド円が153.20〜161.20円、
ドル円が88.20〜95.20円。