日本国債の格付け維持、成長率向上が重要=ムーディーズ

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・
サービスのシニア・バイス・プレジデント、
トム・バーン氏は22日、日本国債の格付けを
維持するためには、歳出削減だけでなく、
成長率を高めることが重要との認識を示した。

また、消費税を10%に引き上げることができるかは、
2015年の景気次第とみている。

同氏は22日、ロイターなど複数メディアの取材に応じた。

ムーディーズの日本国債の格付けは2011年8月にAa3
(安定的)に引き下げられて以降、変更はない。

発言要旨は以下の通り。

「日本のソブリン格付けの見通しが「安定的」に
維持されているのは、政府が国債を低金利
安定的に発行し、資金を調達できると見越している
ためだ。日本の金利は日銀の大胆な金融緩和により
低水準で維持されており、バーナンキ米連邦準備理事会
FRB)議長が今年5月に量的緩和の縮小を示唆し、
米国やドイツの金利が上昇したときでも、
それは変わらなかった」

「もちろん、将来的には政府の公的債務を減らすことが
重要なのは当然だが、今の格付けの<安定的>という
見通しを維持するためには、成長率を今後高めることが
必要になる。アベノミクスの金融緩和によって、
円安が進行し、輸出企業の競争力は高まっている。
今後、労働人口が増えない中で、GDP国内総生産)を
高めるには、いかに生産性を高めるかにかかっている」

「歳出削減については、社会保障費の伸び率を
低くするような政策が期待される一方、消費増税自体は
財政健全化に必要な政策であり、格付け上、
プラス要因と考えている」

「今後は消費税を8%に引き上げたことによる
景気への影響が、どの程度出てくるかを見極めたい。
消費税を10%に引き上げることができるかは、
2015年の景気次第だとみている」

「足元は、日本国債金利が大胆な金融緩和によって
低位に抑えられているが、国債市場への資金の流入
滞る可能性などもあり、中長期的には不確実性が
あるのは否めない。また、米国債金利上昇による
影響を受けることもあり得る。こうした可能性は
今後1〜2年内は小さいとみているが、多額の
政府債務を抱える中で、中期的な持続可能性には
疑問符が付く」

「いずれにせよ、格付けを評価する上では、
基礎的財政収支を目標通りに、赤字を削減させ
均衡させることができるかを注目している」