最近の物価上昇はエネルギーだけでなく、幅広い品目が寄与=日銀総裁

黒田東彦日銀総裁は23日午後の参議院予算委員会で、
異次元緩和の効果についてコストプッシュ型の物価上昇が
起こっているのではないかとの質問に対し、必ずしも
円安の影響を含めたエネルギー製品だけでなく、
幅広い品目での物価上昇によるものだとの認識を示した。

民主党桜井充委員の質問に答えた。

黒田総裁は「確かに最近の物価上昇の背景をみると、
円安による輸入レートを含めエネルギー関連の押し上げが
一定の効果を持つことは事実だが、それだけで現状は
説明できない」と述べ、「それ以外にも需給ギャップ改善を
受けて、幅広い品目で改善の動きが見られる」との認識を示した。

「その結果、いわゆる食料・エネルギーを除いたコアコアと
呼ばれる動きもマイナス幅を縮小してきている。今後、
需給ギャップが改善していくことで、物価が一気に
上がることはないと思うが、徐々に着実に2%の
安定に向けて上昇していくと見ている」との見通しを
示した。

出口戦略に関しては「量的質的緩和は所期の効果を
あげつつあるが、2%の物価安定目標の達成まで
まだ時間がかかる。当面は目標達成に全力を
挙げているところだ」と指摘。

「出口戦略について具体的なことを
申し上げるのは時期尚早だ」と語った。

さらに「どこの中銀でも政策をとる場合
その影響や効果、副次的インパクトなどを
考慮しつつどう運営するかは常に考えている。
ただ、出口戦略はその時の経済の実態や市場の
状況を踏まえて具体的に議論しないと、今の時点で
仮定の話を積み重ねて、市場に対して混乱の
原因になってもよくない」と述べた。