ECB、ユーロ高へ対応手段持たず=オーストリア中銀総裁

欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのノボトニー・
オーストリア中銀総裁は29日、ユーロ高に対し
中銀が用い得る手段はまったくないとの考えを
示すとともに、ECBとして現時点で対応する理由は
見当たらないと言明した。

マーケット・ニュース ・
インターナショナル(MNSI)に対し述べた。

追加利下げを実施しても効果は
限定的になるとも指摘。

ただ、流動性供給の面では
対応の余地があるとした。

ユーロ/ドルは今年7月上旬以降8%強値上がりしており、
ECB理事会メンバーの間では対応について意見が分かれている。

この発言を受け、ユーロは一時1.38ドルを上抜けた。

ノボトニー総裁は「(ユーロの)上昇は当然歓迎しない。
経済が比較的ぜい弱な国は特にユーロ高の
マイナス影響を受けやすく、経済格差が拡大する
恐れがあることも認識している」としながらも、
「(ユーロ高に対し)ECBが用いることのできる
手段はなく、対応が必要な局面に達しているとも
思わない」と言明。

「今のところユーロ/ドル相場は過去にも見られた
水準にあることから、異例の状況とは言えず、
直ちに対応する理由は見当たらない」と述べた。

米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小を
来年に先送りするとの観測を受けたドル安などを背景に、
ユーロは前週、対ドルで2011年11月以来の高値をつけた。

現行0.5%のリファイナンス金利については、
すべての欧州諸国とって受け入れ可能な水準との
見方を示した上で、「主要政策金利を引き下げる
現実的な見込みがあるとは認識していない」と述べ、
中銀預金金利のマイナスへの引き下げも現実的な
見方ではないとした。

一方、流動性供給に関しては議論の余地があるとし、
ECB理事会内では3年物資金供給オペ(LTRO)の
唐突な終了を回避すべきとの「広い見解の一致」が
あると語った。

ただ方法については依然検討中で、LTROの
追加実施以外にも流動性を供給する手段はあるとし、
「なんらかの中期的手段を用意することが合理的だ。
市場に十分なシグナルを送ることも理にかなっている」
と述べた。

ユーロ圏のインフレ率が1.1%と、ECBの目標である
2%弱を大きく下回っていることについては「懸念材料」
とした上で、インフレ期待はしっかりと抑制されており、
景気回復は強さを増しているとの認識を示した。