英失業率が早期低下の可能性、利上げ急がず=中銀インフレ報告

イングランド銀行(英中央銀行)は13日に公表した
四半期インフレ報告で、景気回復の進展により
失業率はこれまでの見通しより早期に低下する
との見通しを示した。

ただ利上げを急ぐ必要はないと強調した。

中銀は、金利が現在の0.5%で推移すれば失業率は
2014年第4・四半期に7%に低下するとの見通しを示した。

これはフォワドガイダンスを示した
8月時点での予想より2年早い。

利上げ開始の目安となる水準に失業率が低下する時期の
見通しが早まったことから、外為市場ではポンドが上昇、
債券市場では英国債価格が4週間ぶり安値をつけた。

インフレ報告では「景気回復がようやく根付いた。
不透明感がなくなり信用状況が改善して需要が
上向くなか、経済は力強く成長しつつある」
と指摘した。

ただこれが早期に利上げに結びつくわけではないとし、
ユーロ圏を中心とした逆風は続いていると指摘、
「経済の緩みの度合いがかなり低下するまで、
金融政策委員会は非常に刺激的な金融政策を
維持する方針」とした。

また、市場の見通しどおりに金利が上昇すれば、
成長は鈍化し失業率は2016年末まで7%に
高止まりするとの見方を示した。

13日発表された7〜9月の
失業率は7.6%に低下した。

インフレ報告発表後の記者会見でカーニー総裁は、
英経済について「楽観主義者でなくても状況を
プラスに受け止めることができる。これは
ずいぶん久しぶりのことだ」と述べ、「ようやく
回復が根付いた」と発言、これまでになく
強気の見方を示した。

その上で、失業率の低下が自動的に利上げに
結びつくわけではないと再度表明した。

金融市場は中銀が2015年初めにも
利上げを開始すると見込んでいる。

中銀は今回、異なる
シナリオごとに見通しを立てた。

このため、一定の金利をベースに見通しを立てていた
8月と比べて失業率の低下時期の予想が異なる結果となった。

報告では、金利が市場の予測どおり上昇した場合、
成長は鈍化し失業率の低下は後ずれするとし、
このため失業率の予測中央値は2016年末まで
7%を超えて推移するとしている。

予測中央値は市場の金利見通しに基づいている
としているが、この金利見通しが正しいと
考えているわけではないとも指摘した。

記者会見ではカーニー総裁に対し、経済見通しが
大きく変動するなかで見通しに基づく政策運営を
行うことの有効性を問う厳しい質問も飛んだ。

総裁はこれに対し、長期的なガイダンスがなければ
市場金利が過度に早い時期に上昇する恐れがあるとし、
早計な利上げ観測はようやく根付きつつある回復を
腰折れさせることになるとの見方を示した。

中銀はインフレについて、市場の金利見通しに基づけば
2015年初めには目標水準の2%を下回ると予想している。

これは8月予測から6カ月前倒しとなる。

成長率見通しは2013年第4・四半期が0.9%とし、
通年は1.6%とこれまでの1.4%から上方修正した。

2014年は2.8%とし、8月に
示した2.5%から上方修正した。

フォワドガイダンスをめぐっては、
ビーン中銀副総裁が先月、国内のインフレ圧力が
抑制されている場合に失業率の目安を7%から
引き下げる案に言及した。

カーニー総裁は、こうした変更の可能性を
排除することはできないとした上で、決定は
まず失業率が7%に低下し、生産性がどう変化したが
把握してからになると述べた。

また、国内住宅市場の回復を注視しているとしながら、
一部地域の価格急騰を理由に英国全体のための政策を
調整しない考えも示した。